昭和17年の武見太郎医師(後の日本医師会会長)による田中隆吉の診断書によれば、家族の病歴として、「精神病素因は陽性。父および祖父が自殺。」、また本人の病歴としては「既往黴毒(ばいどく=梅毒)による麻痺発症に対する不安」云々とある。彼の異常な行動の裏にはこうした精神・肉体面の障害があったことを認めなければならない。
現在は民主体制下にある。従って、世の各レベルの政治的指導者についても、国民・選挙民の利益を損(そこ)なわぬよう、自己の出自を明らかにし、完治しない精神障害の遺伝要素を隠しているのであれば、国民に対し「告知」する義務があると思う。尤(もっと)も、そうなれば、選挙に当選するのは困難となるだろうが。
(註)
『田中隆吉著作集』(昭和54年、自費出版)によれば、子息の手記には、田中隆吉の父および祖父が自殺したことは一言も書かれていない。また、ロッキード事件の児玉が、大森実との対談で、田中は脳梅毒で死んだと断言したことを、昭和21年検査の結果、梅毒反応は陰性だったとし、「全く事実と反する」としている。尚、上記昭和17年の武見医師の診断書では、黴毒は既に治療済で、ワッセルマン反応は陰性、としている。田中隆吉に関する参考資料としては、本人の著書のほか、粟屋憲太郎編『東京裁判資料・田中隆吉尋問調書』(大月書店、1994年刊)がある。
▲ by ayanokouji3 | 2005-06-17 20:05 | 自虐史観を斬る | Comments(0)