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2005年 05月 13日 ( 3 )

 

周辺有事と台湾について-3

最近、台湾の方より、トム・クルーズ主演のスペクタクル映画『ラスト・サムライ』についての感想を求められた。この映画は本質的には「滅びの美学」を主題としており、その世界は、例えば吉田松陰の「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」や、西郷南洲翁の「丈夫玉砕耻甎全」といったものである。

「滅びの美学」が間違っているとは思わない。併し、開国派と攘夷派が争い、王政復古を経て成立した維新政府に内戦を生じた明治初期と現在とでは、生命に対する見方が異なる。何事も猪突猛進して果てればよいというものではない。

海千山千の欧米の狡猾、老獪さと「一旦緩急あれば」直ちに対応出来るという、十分な前準備に基づく豪胆さが必要である。周辺有事の際に、そのことは、果たして日本にとって可能であろうか。また、迷走中に見える台湾にとって可能なことであろうか。

アジアは日中台だけではない。南北朝鮮も控えている。両岸関係が本格的に動き出すには、今後相当のエネルギーを必要とする。その前に国際的力学が無情に働くものと思う。また、米国の描くシナリオと「皮算用」通りにアジアが動くという訳でもない。数多の評論家が何を予想しようと、株価や為替の推移同様、情勢が予想通りに動くかも知れず、また意外な方向に動き始めるかも知れないし、或いは結局殆ど動かないかも知れない。それは今のところ誰も知り得ないのである。

【註】
台湾独立派には悲観も楽観も禁物である。最終的に台湾の地位が確定するまでは、一喜一憂せず、また自暴自棄や戦勝気分にならないことが肝要である。台湾の地位がスンナリと容易に確定するとは考えられない。「長期戦」をば覚悟すべし。それにしても、故孤蓬万里(本名:呉建堂)氏作の短歌:

  独立も 統一も夢 蓬莱の 民に幸福 何時(いつ)なんぞ来る

があらためて思い起こされる今日此頃である。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2005-05-13 23:08 | Comments(0)  

周辺有事と台湾について-2

さて、小生は過日、国立劇場(小劇場)にて人形浄瑠璃、文楽を鑑賞した。
演目は、「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」と「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」であった。前者は御家騒動で我子を犠牲にしてまで幼君鶴喜代を守る乳人(めのと)政岡の忠義、後者は京都の町人帯屋長右衛門と信濃屋の娘お半の心中に至る複雑な経緯がテーマである。

そこで、台湾問題に重ね合わせて考えてみた。

台湾独立を図るためには、「伽羅先代萩」の政岡に匹敵する武士道精神を有する忠義の臣-政治家が台湾に必要である。もしいなければ、幼君鶴喜代は暗殺され、お家乗っ取り(台湾併呑)は成就する。

また、「桂川連理柵」の示すところは、申し開きの出来ない状況に追い込まれれば、弱い立場の男女は「心中」するしか道は残されていないということである。即ち、台湾独立のスローガンが民心を得なければ、台湾独立派は厳しい目に遭うことになる。

【註】
大衆芸能である人形浄瑠璃には、堅苦しい武士社会のしきたりに対する諷刺と皮肉を籠めた箇所が散見される。他方、金と人情のしがらみに翻弄される町人階級の喜怒哀楽の描写は実に見事である。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2005-05-13 23:04 | Comments(0)  

周辺有事と台湾について-1

丁度2年前、台湾より、次のメールを受取った。

『我們已有專門單位督促貴國制定類似米國之台灣關係法. 針對"週邊有事" 將台灣納入, 貴國尚未作出最後決定. 但中國一定會阻止. 如果貴國順從中國之聖旨, 我們必了解. 今後 '週邊有事' 日本不會對台灣這個過去曾是自己植民地的人民伸出援手. 我們只有靠自己, 武器方面, 我們會請求米國支援. 』
(要旨-日本が台湾を守ってくれないのなら、米国の助けを借りて自ら守るだけである)

当時、日本政府の公式見解として、周辺有事の範囲に台湾が含まれるかということにつき、肯定も否定もしなかった、否、出来なかった。その後、イラク派兵、韓半島情勢の変化、中国の抗日運動に伴い、日本国民に国家危機管理への理解が進んだこともあり、今では、中国に赴いた日本の外相が、周辺有事の範囲に台湾が含まれることを明言するようになった。中国のご機嫌伺いに終始していた日本政府として、何と大きな対中姿勢の変化ではないか。

他方、中台関係ではこのところ、連氏の「投石」(石を投げ反応をみる)平和の旅、宋氏の露払いの旅があったが、いずれも中共政府の掌(たなごころ)の中で弄ばれているようにも見えた。また、別の観点からいえば、中台双方共に焦りが感じられた。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2005-05-13 23:00 | Comments(0)