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周辺有事と台湾について-3

最近、台湾の方より、トム・クルーズ主演のスペクタクル映画『ラスト・サムライ』についての感想を求められた。この映画は本質的には「滅びの美学」を主題としており、その世界は、例えば吉田松陰の「かくすればかくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」や、西郷南洲翁の「丈夫玉砕耻甎全」といったものである。

「滅びの美学」が間違っているとは思わない。併し、開国派と攘夷派が争い、王政復古を経て成立した維新政府に内戦を生じた明治初期と現在とでは、生命に対する見方が異なる。何事も猪突猛進して果てればよいというものではない。

海千山千の欧米の狡猾、老獪さと「一旦緩急あれば」直ちに対応出来るという、十分な前準備に基づく豪胆さが必要である。周辺有事の際に、そのことは、果たして日本にとって可能であろうか。また、迷走中に見える台湾にとって可能なことであろうか。

アジアは日中台だけではない。南北朝鮮も控えている。両岸関係が本格的に動き出すには、今後相当のエネルギーを必要とする。その前に国際的力学が無情に働くものと思う。また、米国の描くシナリオと「皮算用」通りにアジアが動くという訳でもない。数多の評論家が何を予想しようと、株価や為替の推移同様、情勢が予想通りに動くかも知れず、また意外な方向に動き始めるかも知れないし、或いは結局殆ど動かないかも知れない。それは今のところ誰も知り得ないのである。

【註】
台湾独立派には悲観も楽観も禁物である。最終的に台湾の地位が確定するまでは、一喜一憂せず、また自暴自棄や戦勝気分にならないことが肝要である。台湾の地位がスンナリと容易に確定するとは考えられない。「長期戦」をば覚悟すべし。それにしても、故孤蓬万里(本名:呉建堂)氏作の短歌:

  独立も 統一も夢 蓬莱の 民に幸福 何時(いつ)なんぞ来る

があらためて思い起こされる今日此頃である。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2005-05-13 23:08 | Comments(0)  

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