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日本の植民地経営について-3

中島敦の少年時代の短編小説の中に、「巡査の居る風景-1923年の一つのスケッチ」と「D市七月叙景(一)」というものがある。前者は植民地時代の京城の情景と人間模様を、後者では大連のそれらを知ることが出来る。前者での朝鮮人巡査の主人公は、「あの日本の紳士に丁寧な扱いを受けていたことによって極く少しではあるけれども喜ばされていたのだ。」と感じ、後者での、高専校を出ておきまりの下級会社員の苦しい生活から逃げ、満洲でM社に就職した主人公の「彼」は、収入が内地の倍となり、「こうして満洲は彼にとって、極楽であった。」となる。こうしたものは植民地時代の一側面に過ぎない。

然らば、より広い視点でとらえた場合は如何なるか。
小生の高齢の知人は、次のように述べている。
日本が政策として日露戦争を含め侵略戦争を行い、植民地を搾取したと云う事実はない。当時の国家財政を精査すれば歴然とする。私が斯く断ずるのは、私自身に植民地は本国のためにのみ存すると云う考えがなかったせいではない。国防、東洋の平和のための政策遂行の結果として、日本が台湾、関東州、朝鮮を領有することになったのである。
そして、存在と当為を当時に遡って、当時の為政者の立場になっての反省が必要であり、歴史は後世の価値観でのみ把握すべきでなく、自虐的反省からは正しい歴史認識は出来ない、また、戦争の悲惨、敗戦の虚脱感の視点から歴史を批判するのみの平和論では国の安全は保障出来ない、とする。

今日、日本の植民地経営の意義を論ずることは決して単なる歴史の検証を行うことではない。それは、現時点の国際情勢に如何に対処するかという、極めて今日的意味をもっている。この植民地経営の歴史的意義を明確にし得ない限り、北朝鮮拉致問題の解決についても、将来の問題となる台湾の帰趨を巡る対応についても、日本は独自の対応が出来ず、世界の笑い者となるだけである。教科書検定に関する論争は外に現れた一つの事象面に過ぎない。その奥に潜む、より深い歴史観の是正、各人の出自の解明こそが急務なのである。それなくしては、総論の集積の処理に終わってしまう。より具体的で、積極的、緻密な調査・分析が望まれる。このことは、せめて日本の中流階層の人々には実践してほしいのである。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

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by ayanokouji3 | 2005-03-31 22:28 | Comments(0)  

日本の植民地経営について-2

21世紀においても圧政からの解放と「民族自決運動」は続いている。併し、様々な事情から万国、万民に理想的な状態には決してなり得ない。別にその地域の人間が無能だから圧政に苦しんだり、米英軍に解放されたりする訳でもないだろうが、和平会議で他国の援助で辛うじて国のかたちを保つというのは国民にとっては恥である。それと同様、かつての日本の植民地が自立出来なかったり、分裂状態にあったりしたことは事実である。そうした植民地に日本人が出掛けて行ってよい暮らしをしたとしても、果たしてそのことだけで国の植民地政策が批判されてもよいものだろうか。抑も日本の植民地政策がかつての西欧諸国の政策と比べ極端に圧政を布いたということはないと思う。

建築物を残したり、新制度を導入したり、教育を施したとして恩を着せたり、感謝されるには及ばない。併し、当時の世界情勢、経済レベルを斟酌すれば、一方的に暗黒の時代 ── 日本の植民地下の○○、を単純幼稚な学童に信じ込ませるような歴史教育があってはならない筈である。これは文科省やデモシカ教師の責任ではなく、それぞれの家庭の親の責任であり、延いては敗戦の衝撃により出身階級意識を子供から取り去った各自の父祖の責任なのである。

最近、大連出身の青年と日本の植民地経営について論議した。彼も、植民地時代の古い建造物を今も大事に利用していることを認めた。これは、旧満洲国建設に努力した故老が頻りに説いていたことであり、また小生自ら現地で確認したことである。

『日本の植民地経営について-1』において、「戦後58年、今更日本の植民地経営の『収支決算』を論ずる気にはなれない。」と記したが、産経新聞の2002年9月13日朝刊第1面によれば、日本が北朝鮮地域に残した資産総額は8兆7800億円にのぼり、サンフランシスコ講和条約の財産請求権を行使した場合、逆に北朝鮮が日本に支払う額の方が5-6兆円となる、とのことであった。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

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by ayanokouji3 | 2005-03-30 17:46 | Comments(0)  

日本の植民地経営について-1

戦後60年、今更日本の植民地経営の「収支決算」を論ずる気にはなれない。植民地で生活したことのない、戦後生まれの人間として、過去の体制を云為することは難しい話ではあるが、父祖が個人として有した感想をもとに、日本の植民地経営について平成における視点で論ずることは出来るので、些か記してみたい。

  1. 小生の祖父は、日露戦争前後、現地で

    • 台湾を風土病研究の対象の地としてみていた。

    • 大連は満洲殖民の策源地としてみていた。

    • 韓国は属邦として当然と考えていた。

  2. 小生の父の世代は、

    • 植民地では収入も多くなっていたことを、当然のことと考えていた。当時若く人生で最もよい時代だったとしていた。

  3. 小生は、

    • 東南アジアを幾度となく広く廻ってみて、日本の植民地経営がもたらした功罪を冷静にとらえることが出来た。

ところで、松下芳男(1892~1983)著「日本軍閥の興亡」は概要次のように述べる。
日清戦争以後版図に入った領土において、民政を布いた場合においても殆ど現役軍人が施政長官となった。治安維持のために長官に軍事指揮権を必要としたこともあったし、植民地稼ぎの腐敗文官官僚に対し、頑固にまで見える正義感の強い武官長官を適当としたこともあった。これと反対に行政を知らぬ軍人の治績不振により、住民に不信と不満を抱かせたこともあった。

  • 朝鮮
    憲兵を多用した異邦統治の困難が痛感され、併合が日本のために利であったか、損であったか、よくよく考えなければならない。

  • 台湾
    文官総督により統治上好結果を収めたことは間違いないが、民族解放運動を根絶することは出来なかった。

  • 満洲
    心ある軍人が事変を企図した背景には、日露戦争で父兄の血を以て得た諸権利を排日、侮日で侵害されたことや、陸軍の庇護により馬賊の頭目から大元帥となった張の忘恩的態度を憤慨する軍人の正義感があった。日本の政治の貧困による対満政策の無能には驚いていた。

植民地経営の目的としては、日本の人口問題、経済の要求といった唯物的なものよりも、正義感が国家主義につながった唯心的なものが重要である、と松下氏は説いている。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

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by ayanokouji3 | 2005-03-29 21:49 | Comments(0)  

中国分割論について

『台湾及び台湾人の進むべき道について-2』にて触れた、「前途が一転して雲散霧消し、豁然として開けるような天機」は座したままで無為にして到来する訳ではない。

天機とは具体的には如何なるものか。それは中国が中央集権体制、共産党一党独裁体制をやめて、各地域に分かれた緩やかな共同体になることしかない、即ち分割である。

これは、清末の欧米列強による割譲を彷彿とさせるが、勿論そうではない。目的は中国共産党からの人民の解放である。ロシアが崩壊し冷戦終結、東西の均衡が破れた、21世紀の今日にあって一党独裁を維持させることに意味はない。戦後、日本帝国という重しがとれ、中国では国共分裂、韓半島では南北分断されたが、今や中国共産党も北朝鮮の体制も前世紀の遺物となってしまった。安全保障上、地球環境や知的財産権保護上の周辺諸国の利益と、台湾公民を含む各地域人民の幸福の観点からすれば、中国は分割する方が得策である。

かつて日本の使命はアジアよりの白人の駆逐であったが、今世紀の日本の使命はアジアにおけるエセ共産主義の撲滅である。この前提としては、日本の対中政策に関する輿論統一が必要となる。その事項とは如何なるものか。

  1. 歴史問題の克服-日清戦争から大東亜戦争に至る、プロパガンダとしての共産党史観の覆滅

  2. 東亜の仲裁者としての自覚-核武装の上、有事の際、示威的軍事行動

  3. 東亜の監視役としての自覚-資源消費量監視、知的財産権侵害の摘発、調整

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

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by ayanokouji3 | 2005-03-28 21:47 | Comments(0)  

台湾及び台湾人の進むべき道について-2

『台湾及び台湾人の進むべき道について-1』に述べたような対処法では、台湾及び台湾人は袋小路に入り、閉塞状況が強まると思われる。ここで、大いに説得力のあるスローガンが必要となる。

最近、台湾より、次

The only way is ---以戰止戰---

というメッセージを受け取った。これは、中東で頻発しているような、単なる一時的暴力ではなく、正面から向き合った抑止効果のことを指しているのだろう。台湾側からすれば、「以美(米)制支」は勿論のこと、「以日制支」へのかすかな期待もあることだろう。日米からすれば、「支台反支」、「憐台悪支」、といったところか。

さて、『「兄弟牆に鬩ぐ」について-1』でも触れた、小生の親戚が随分前に書いた本に、このような箇所がある。

「将来の見通しはどうか、と問われるならば、それは、成るようになる、成るべきようになる、と答える外はない。「法の世界」と「事実の世界」とは、脈絡不可断・相即相入の関係にある。・・・違法とか不法とかは却って万物の霊長たる人間に特有のものであるからして、真実の法理が、実定法の世界でそのままに守られ、行われるとは限らないのである。・・・違法の悪業もこの法網から免かれることもあり、・・・しかし・・・たとい法網を免かれることが出来た者にも、免かれることの絶対に出来ない目に見えない「天網」が待ち受けているのである。」

これは台湾問題にもそのまま当て嵌めることが出来ると思う。

小生からは次のように答えておく。
日本の武士はかつて堂々と天下の大道の真ん中を真直ぐに闊歩し、道の端は歩かなかった。道を曲がるときも、直角に曲がったという。翻って、台湾人はこれに倣って、アジアの一小部局に跼蹐して悲憤慷慨することなく、国際場裡において堂々と振舞い、国として個人として誠を尽くすことである。

また、明治天皇の御製に

  時まてばおもふことみななるものを心は長くもつべかりけり
  大空にそびえて見ゆる高嶺にものぼればのぼる道はありけり

とあり、例えば暗雲が立ち罩め、「五里霧中」にあって模索せざるを得ない前途が一転して雲散霧消し、豁然として開けるような天機到来を待つことである。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

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by ayanokouji3 | 2005-03-27 20:38 | Comments(0)  

台湾及び台湾人の進むべき道について-1

"Anti-Secession Law" (反分裂國家法)に対し、多くの台湾人の切歯扼腕振りには同情を覚えるものである。先日、台湾より次のようなメールが届いた。

「多くの同胞が、一層、屈辱にもう耐えなくなる. 中国の跳梁跋扈を防遏、抑止しないと将来における建国独立の道は前途多難. 国連再加入もう不能. 種々の展望は難しいのではないだろうか 国家がどのような状況にあるのか.孤立感を深め不安日々を過ごしているのではないか.」

そこで、台湾及び台湾人としての対処、方策につき、一日本人として考えてみた。

  1. 刺客起用(司馬遷「史記」刺客列伝、風蕭蕭兮易水寒壮士一去兮不復還)
     「士皆垂泪涕泣」「士皆瞋目,髪尽上指冠」、何と悲壮なことか。これは一時的に世間を騒がせても、目的の達成は困難。却って反分裂國家法の適用を促進させ、台湾への侵攻を許す口実を与えることになる。不可。

  2. 草莽崛起(侯王将相寧有種乎、燕雀安知鴻鵠之志)
     現在の台湾が「斬木為兵、掲竿為旗、天下雲集響応」というような状況になっているとはとても思えない。現実味がない。

  3. 愚公移山(「列子」、雖我之死,有子存焉;子又生孫,孫又生子;子又有子,子又有孫。子子孫孫,無窮匱也,而山不加増,何苦而不平?)
     毛澤東の名前を聞いただけで辟易する台湾人は多いだろうが、これには一理がある。即ち、絶えず努力していれば、天佑神助があるというものである。併し、今の志を次の世代に伝えることは出来るのか、些か疑問。

  4. 百年待河清
     これは「没法子」が口癖の奴隷民族向きである。「河清難俟」、不可。

  5. 外国への移住・旅行
     台湾には見切りをつけ、カナダ辺りに移住する。これは香港返還が決定した頃の香港人がとった方法であるが、結局香港に戻った人が多い。出処進退が上手で、利にさとい人向きだが、全員が出来る訳ではない。また、余裕のある人は、見聞を広めるために諸国漫遊の旅に出ることにより、台湾のあるべき姿を考えるという方法もある。但し、個人の修養の範囲内、単なる気晴らしにとどまる。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

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by ayanokouji3 | 2005-03-26 20:08 | Comments(0)  

台湾人による自己決定について

小生は、中国の傍若無人の振舞に殊更憤り、「暴戻なる支那を膺懲せよ」といった単純な論には与しない。凡そ、無責任で、言いっ放し、豪傑風の言動程滑稽なものはない。膺懲しようとしても物理的に膺懲し切れないのは過去の歴史が証明している。

「以台制支」の戦略というのは、長期的には中国を分裂させることになる。なぜなら、台湾に日米と一体という旗幟を鮮明にさせることにより、中国の「祖国統一」という、かけがえのない崇高な目標の実現に支障が出て来るばかりか、実質的に尖閣の問題が棚上げとなれば、「還我国土」という愛国心の発露の機会が制限されることになる(負け犬の遠吠えとなる)。これは中国人民の政府に対する大きな不満となって現われることだろう。

台湾問題は東北部や広東、福建等の独立をも惹起する可能性もある。「祖国」の四分五裂は共産党政府にとって死活問題である。それを見越して、口先ではなく、相当強硬な手段に訴えて来るのは目に見えている。この問題は大地震と違って、明日すぐに大問題となる訳ではない。併し、台湾海峡に「時限爆弾」と「地雷」が仕掛けられているような不気味な様相を今後一層呈して来ることだろう。日本としては、能うべくんば、事態を冷静に見据え、将来に備えた輿論を形成し、準備をしておくことである。

尤も、今のところ、米国頼みの日本であってみれば、それらの活動を主導的に解決出来る能力も智恵も意思もないのは当然である。よって、日本としては、台湾に対して早めに確固たるサインを送った方がよい。従来通り、「米国頼みにつき如何ともしようがない」というのであれば、それでもよい。台湾公民はそれをもとに、日本頼むに足らずとし、恨むことなく、自らその将来を考えることとなろう。

因みに、ある台湾人の意見は次

「If Taiwan is under the attack of China, there's no alternative for most Taiwanese, but to take and accept the truth that Taiwan will be 米国の一州になるというSATAME..」

の通りであり、日本人として考えさせられる一節ではある。
古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

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by ayanokouji3 | 2005-03-24 09:57 | Comments(1)  

「以台制支」の戦略について-2、に対する意見と考察

台湾の方よりメールを頂戴した。

「『以台制支』とは台湾を前線の戦場とするような STRATEGY は不確定要素が多すぎる, 長期的に中国の跳梁跋扈を防遏、抑止するというように受け取られるかも知れないが小生の意図するところはそうでよいものである。
  1. 「以台制支」とは ---WHAT ARE THE FUNDAMENTAL STRATEGIES ?

  2. BACK-UP PLANS

  3. WHAT ARE YOUR CONSTRUCTIVE / STRATEGIC PLANS FOR SUPPORTING TAIWAN.」

小生は、先日の中国全人代の模様を北京放送(短波ラジオ)で聞いて、台湾の人々の複雑な心境と緊張感を推察した。

論点を整理してみると、
  1. 「以台制支」の基本戦略
    台湾は中国のいわば急所であり、これを制することによって、韓半島における中国の突出を押さえ、尖閣を巡る問題に事なきを得、東アジア地域の平和安定を将来する。これには米国との協調が前提となる。飽迄も目的は対中戦争遂行ではなく、「備えあれば憂いなし」(有備無患)を意味するものである。

  2. 台湾のサポート体制
    今後10年をかけ、逐次実施して行くべき事項の例としては、次の通り。

    • 条約-日中間条約上の台湾関連文言の解釈変更、日台間条約締結

    • 台湾の日本への編入を前提としての法制度具備-台湾人のビザ廃止、有事の際の台湾人の救済施策、日台軍事交流(人事、装備)

    • 対韓国工作-有事の際の出動の事前確約(これを「日韓関係の踏み絵」としておく)

    • 対ロシア工作-有事の際の中立、不介入密約

    • 対東南アジア諸国工作-有事の際の軍事援助密約

    • 有事の際(法制度具備が間に合わない場合)には、米軍の先行駐留、自衛隊の台湾方面重点配備、米軍よりの引継

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

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by ayanokouji3 | 2005-03-23 20:14 | Comments(0)  

天下の愚法『反分裂国家法』に見る中華人民「狂」和国の思考回路

「中国」(支那)の国会に当たる第10期全国人民代表大会(全人代)第3回会議に上程されていた『反分裂国家法』(反国家分裂法)が、全人代最終日の2005(平成17)年3月14日、圧倒的多数の賛成で可決成立しました。この法律は、現実的に主権独立国家として存在する「中華民国」(台湾)が正名(名を正す事)し「台湾共和国」として「独立」する、「中国」にとっての最悪の事態を阻止する為に、「平和統一、一国両制(一国二制度)」の基本方針を指導理念とし、所謂(いわゆる)「一つの中国」の原則を貫徹、場合によっては「台湾問題」の軍事的解決をも辞さない、と言う断固たる決意の表れ ── であるとされています。実際、「中国」は台湾を自国の領土であると主張し、自らの主権が及んでいない台湾が、名実的に「独立」する事を絶対に認めない。その為には、「武力行使も辞さず!!」との考えでいます。しかし、台湾に対する「中国」の身勝手な論理と言い、今回成立した『反分裂国家法』と言い、私から見れば、到底、「中華人民『狂』和国」の戯言(たわごと) ── 狂人(パラノイア)の妄言にしか思えません。又、それと同時に、この様な法律を制定しなければならない所に迄、追い詰められた「中国」の真の姿も浮かび上がってきます。と言う訳で、今回は、「中国」が成立させた天下の愚法『反分裂国家法』について、書いてみたいと思います。

「中国」が成立させた『反分裂国家法』とは具体的にどの様な内容(条項の詳細)なのか? 関心のある所ですが、実は、驚くべき事に成立させたにも関わらず、『反分裂国家法』の条項を「中国」は公表していないのです。日本を含め、近代法治国家たるものは、必ず、法令対象者に対しては当然として、広く外国に対しても、その条項を開示するものです。しかし、「中国」は、その対象が台湾であるにも関わらず、台湾政府に対しても、台湾公民(国民)に対しても、開示してはいません。つまり、『反分裂国家法』なる法律は、具体的条項を明かさない「秘密法」である訳です。「人治の国」と称される「中国」とは異なり、法治が定着している日本や台湾には、全く以て理解し難い次元の話です。

偖(さて)、「秘密法」である『反分裂国家法』ですが、香港のメディア等から漏れ伝わってくる情報を組み合わせると、

  1. 「統一」が両岸(「中国」と台湾)関係の唯一の選択肢

  2. 「中国」による一方的な「反国家分裂」の定義とその範囲の制定

  3. 「独立」又は「国家分裂行為」と見なされる要件並びに、それに対する法的責任と罰則の規定

を規定し、その上で、

  1. 台湾当局(政府)が独立を宣言

  2. 台湾で動乱が発生

  3. 台湾に対する外国勢力の武力介入

と言った事態が発生した際には、人民解放軍・武装警察隊・民兵に『非平和的手段』 ── つまり、武力行使によって問題を解決する権利を付与する、と謳(うた)っているとの事です。

常日頃から「中国」は、

「台湾が独立を宣言したら武力行使する」

と言ってきましたし、2月19日、ワシントンD.C.での日米外務・防衛閣僚による安保協議委員会、所謂「2プラス2」に於いて合意・採択された『日米の共通戦略目標』に、

「台湾海峡を巡る問題の対話を通じた平和的解決を促す」

との文言が入れられた事に見られる様に、「台湾問題」に日米と言った外国勢力が関わる事態を避ける為にも、又、台湾を「自国の領土」と主張してきた経緯から「台湾問題」をあくまでも「内政問題」として処理する為にも、今回の『反分裂国家法』制定は「中国」にとって必要不可欠だった、と言った所なのでしょう。しかし、それは、あくまでも「中国」にとって極めて都合の良い「身勝手な論理」でしかありません。

私は、嘗(かつ)て、『4.台湾は中国の一部ではない!』(1997.3.8)や、『101.「割譲」の意味を知らない支那 ── 「台湾問題」に見る支那の矛盾』(2002.4.7)等のコラムを通して、台湾に「中国」=「中華人民共和国」の主権が及ばない事を主張してきました。改めて書きますが、国共内戦を制した毛沢東が、1949(昭和24)年10月1日に樹立した「中華人民共和国」は、「自国の領土」と主張する台湾を、今日(こんにち)迄、建国以来一日たり共、統治した事はありません。いや、統治云々以前に、抑(そもそ)も、蒋介石は国共内戦に敗北したと同時に、「中華民国」ごとそっくり台湾に移転してしまった訳で、此処(ここ)で台湾が改めて「独立」を宣言しようが、しまいが、最初から独立主権国家として存在していた訳で、その台湾に対して、「中国」の単なる「国内法」でしか無い『反分裂国家法』を適用しようとする事自体がそもそも滑稽である訳です。その様な視点で捉えると、『反分裂国家法』は「中国」が世界に晒(さら)した「天下の愚法」と言えますし、又、その様な法律を真顔で制定した「中華人民共和国」とは、正に、

中華人民「狂」和国


と言っても過言では無いでしょう。とは言え、別の視点から『反分裂国家法』を眺めてみると、全く異なった「中国」の実情が見えてきます。

今回、「中国」が制定した『反分裂国家法』の適用範囲は、大陸と台湾(の人民・企業・団体・公務員)とされています。つまり、この法律の矛先は、何も台湾に限定している訳ではありません。たまたま、「台湾問題」の比重が大きいと言うだけであり、同法に定義されている「独立」又は「国家分裂行為」と見なされる要件が満たされれば、分離独立運動が盛んなチベット自治区や新疆ウイグル自治区、独立志向の強い広東省や東北三省(満州)と言った大陸部(本土)の地域にさえ、その矛先が向く訳です。そして、その事は裏を返せば、経済発展が著しい臨海部と、発展から取り残され未だに貧しい内陸部の経済格差 ── 言い換えれば、「中国国内に於ける『南北問題』」や、余りにも肥大化し過ぎたが故に、隅々に迄、統制が行き届かず、自己矛盾と機能不全に陥ってしまった共産党一党独裁体制下の「中国」が、見かけの発展とは裏腹に、常に内部崩壊(国家分裂)の悪夢に呵(さいな)まれている姿を浮かび上がらせます。

中国崩壊


彼(か)のソビエト連邦でさえ、多くの人々は、よもや内部崩壊する等とは思ってもいませんでした。しかし、実際にソ連は崩壊してしまいました。その様に考えると、「中国」の崩壊もそう遠くない日に訪れるのかも知れません。果たして、2008(平成20)年の北京五輪迄、「中国」が保(も)っているかどうか? ひょっとしたら、「まさか!!」・「青天の霹靂(へきれき)」と言った事態に向けて、歴史の歯車は既に回り始めているのかも知れません。

竹下義朗 TAKESHITA Yoshiro

(本投稿は、Web『帝國電網省』の「歴史再考」に、2005年3月21日付で掲載したコラムです)
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by ayanokouji3 | 2005-03-22 21:20 | 歴史再考 | Comments(0)  

「以台制支」の戦略について-1に対する意見と考察

台湾の方よりメールを頂戴した。

「TO MY UNDERSTANDING,KOREANS DO NOT TRUST CHINESE AT ALL BASED ON:

  1. WHEN RECALLING, CHINESE ALSO PUSHED KOREANS A LOT FOR THE PAST HUNDREDS YEARS.

  2. THE REASONS FOR GETTING CLOSED TO CHINA WERE:

    1. また台湾の犠牲の下にN. KOREA の跳梁跋扈を防遏、抑止するというように受け取られる、N. KOREA を牽制するという「以中制韓」(中国を以て北韓を制する)の戦略を推進するべきとの主張をしたというかも知れない.
      (IT IS UNDERSTANDABLE THEY TAKE SUCH ACTION AT THE EXPENSES OF TAIWAN, IF YOU WERE THEM, YOU'D DO SO.)

    2. INWARDLY SPEAKING, THEY DO NOT LIKE JAPAN DUE TO THE PAST HISTORY, BUT DO YOU THINK THEY REALLY LIKE THE US TROOPS STATIONING IN THEIR COUNTRY? THEY HAD NO CHOICE BUT TO TAKE IT FOR THE LAST RESOLUTION (THEY DO NOT KNOW THAT CHINA AND N. KOREA MIGHT JOIN TOGETHER TO ATTACK THE SOUTH KOREA).

    3. 以後過去の歴史問題に触れる触れないと韓国は現状以上のものではなく
      THEY CAN NOT GET AWAY FROM THE IMPACT BETWEEN TAIWAN AND CHINA, THEY CAN NOT GET AWAY FROM THE IMPACT BETWEEN JAPAN AND N. KOREA.」


論点を整理してみると、

  1. 韓国が中国寄りになる理由は北朝鮮対策
    これは、中国(台湾を犠牲)を利用して、北朝鮮を牽制するという「以中制鮮」 (中国を以て北朝鮮を制する)の戦略であるが、現在の韓国政権は多少の無理をしても統一を図ろうという意図ありとみられるので、何とも言い難い。歴史的に朝鮮は支那の下位にあった(事大主義)ので、日本(倭)より中国を選ぶと思う。

  2. 韓民族の面子による歴史問題へのこだわりと在韓米軍への悪感情
    これは確かに存在すると考える。

  3. 台中関係、日鮮問題の韓国に与える影響大
    逆の立場から、韓国が中国寄り、対北朝鮮宥和政策をとっている以上、日本が「以韓制支」することは実質的に困難である。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

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by ayanokouji3 | 2005-03-22 21:07 | Comments(0)