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夏目漱石の漢詩について

先日、台湾の人より日本語の書き言葉を brush up するには如何(いか)なる著作を読めばよいかたずねられたので、鴎外(おうがい)・漱石と答えたところ、手始めに漱石のどの小説が適切か、更にたずねられた。

漱石の小説自体が古典となりつつある中、その文体に親しむことに即効はないが、その「品」と洒脱(しゃだつ)さを以て幾分かの影響はあると思われる。

久し振りに「日本漢文学史」(1984年角川書店刊、猪口篤志著)で漱石の漢詩を探したところ、解説には「漱石が小説家として、明治の文豪の名を得ていることはいうまでもないが、漢詩に対する情熱は晩年に至っていよいよ昌(さか)んで、進境著しく、漢詩人として優に一家を成している。その詩はほとんど全集に収載され、解説書も幾種かできている」(589頁)とあった。

「山路觀楓(shanlu guanfeng)  石苔沐雨滑難攀(shitai muyu hua nanpan) 渡水穿林往又還(dushui chuanlin wang you huan) 處處鹿聲尋不得(chuchu lushengxunbude) 白雲紅葉滿千山(baiyun hongye man qianshan)」 読み下しでも、中国語音でも、耳に快くひびくが、この歳になって、台湾の人を通じて漱石の漢詩を想起させられるとは思いもよらなかった。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2008-06-22 20:46 | Comments(0)  

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