「第二チベット動乱」に思う
<チベット>ラサは戒厳令状態 寺院に遺体 連行し銃殺も
【北京・浦松丈二、大谷麻由美】中国チベット自治区ラサの旅行社女性職員は15日午前、毎日新聞の電話取材に「街にほとんど人がいない」と語った。中国当局は戒厳令を敷いていないとしているが、市内要所に治安部隊が展開しており、ラサは事実上の戒厳令状態にあるとみられる。
職員は「少し前から暴動のうわさが流れていた。14日午後は学校や病院が何カ所も放火されたが、短時間で消火された。当局の対応は速く、夜にはテレビやラジオで鎮圧のニュースが流れた」と話した。一方で、暴動はラサ郊外にも拡大している模様で、外国人旅行者の受け入れは停止されている。
新華社通信によると、ラサ中心部では14日午後1時10分ごろ、僧侶ら抗議活動の参加者と地元警察の衝突が激化した。午後2時ごろから、僧侶が主要道路の2路線に面した商店に放火。寺院周辺の少なくとも5カ所で火災が発生し、多くの商店や銀行、ホテルが焼け落ちた。火災で停電や通信が遮断された。
米政府系「ラジオ自由アジア」が目撃者の話として伝えたところでは、観光地として知られ、旧市街地区にあるチベット仏教寺院ラモチェ寺の中で2人、庭で2人が死亡しているのが見つかった。別の場所でも2遺体が発見された。また、26人のチベット人が黒い車両で連行された後に銃撃されたという。
ラモチェ寺の約110人の僧が、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の写真を掲げ「チベット独立」を叫んで行進し、制止しようとした地元警察と衝突した。暴徒化した一部のチベット人は漢族系商店を襲撃。商品を略奪し、路上で燃やすなどの行為に出ているという。
目撃者は「中国人が経営する店は次々に放火される。チベット人の店は、中国(漢族)系と見分けるために目印としてスカーフを店先に付けるよう言われている」と述べ、混乱ぶりを伝えた。
[毎日jp 03月15日 15時00分]
皆さんも既にご存じの様に、チベットでは、チベット仏教最高指導者にしてチベットの正統な「国家元首」であるダライ-ラマ14世(インドに亡命中)を支持するチベット仏教僧が中心となって「チベット独立」を叫んでのデモ行進をしていましたが、これを鎮圧しようとした地元警察と衝突、遂には大規模な暴動へと発展し、首府ラサ市内には事実上の戒厳令が布(し)かれたとの報道が為されています。
更に暴動や騒乱は、周辺地域へも波及しているとの情報もあり、北京五輪の開催を控える中共(支那)が相当なダメージを受けた事は確かです。尤(もっと)も、チベットを「我が国の神聖にして不可分な固有領土」と称し、チベット民族を「我が中華民族の一員」と呼んでいる割には、チベットに大量の漢族を入植させ、民族浄化を図ったり、チベット仏教に対する徹底的な弾圧と管理統制を行おうとする辺り、支那がチベットを「民族同胞」として扱っていない事の証左と言えます。
又、チベットが「中国の固有領土」であると言うのなら、何故(なにゆえ)、チベット民族の多くは今尚、中共が「反革命分子の総帥」等と称して憎悪するダライ-ラマ14世に崇敬の念を抱いているのか? 何故、チベットで「独立」を叫んでの暴動が繰り返されるのか? 中共は国際社会に対して、納得のいく説明をす可(べ)きです。然(しか)し、それをしようとはしない。昨今、東支那海のガス田問題で、支那が「日本が国際司法の場に問題を持ち込めば、日本が勝つだろう。(だから、我々は絶対に司法のテーブルには着かない)」と暗に自分達に利が無い事を吐露したのと同様、チベット問題も、連合国(通称「国連」)の場で取り上げられれば、利が無い事を承知しているからこそ、他国がチベット問題に触れようとすると「内政問題故に干渉するな」と嘯(うそぶ)くのでしょう。
扨(さて)、長々とチベットの事を書きましたが、これを1956年から1974年にかけての「チベット動乱」の再来 ── 「第二チベット動乱」と見なす事は容易(たやす)いでしょう。然し、それ以上に私が感じた事は、若(も)しも、台湾に於いて藍派(所謂(いわゆる)「中台統一派」。その代表が国民党)が政権を奪還し、支那との間で、中共のペースで台湾海峡両岸の統一が為されてしまったとしたら? そして、「中華人民共和国台湾省」となった台湾に於いて、緑派(所謂「正名独立派」。その代表が民進党)諸党派が解散・非合法化されたり、民主独立を求める人々が起こしたデモが、今回のチベット同様、警察はおろか人民解放軍迄動員して武力弾圧・掃討されたりしたら? それは、ある程度の年齢の内省人なら決して忘れる事の出来ない1947年2月28日勃発の「二・二八事件」の再来 ── 「第二の二・二八事件」と呼んでもよい悪夢となる事でしょう。然も、相手は蒋介石率いた国民党よりも、遙かに強権独裁色の強い中共です。チベットやウイグルをはじめとする侵略占領地域に於ける抵抗運動を徹底的に武力で弾圧、力で封じ込めてきた「実績」を考えれば、台湾が「統一」の名の下に支那に併合される事は、悪夢以外のなにものでもありません。
台湾総統選迄、余す所、一週間。台湾公民に於かれては、所謂「中国経済」に依存するが如き一時的な損得勘定に惑わされる事無く、真に台湾の未来を託すに相応(ふさわ)しい人物は、民進党の謝長廷氏、国民党の馬英九氏何(いず)れであるかをきちんと吟味した上で、貴重な一票を投じて頂きたい。そう、私は思う訳です。
by ayanokouji3 | 2008-03-15 19:34 | Comments(1)