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中国ビジネスと台湾の帰趨について

「政冷経熱」といわれる。国家間の外交関係は別にして、日中の経済が年々深化しているのは事実である。民間ビジネスを国家が制限するのは余程のことがない限りはあり得ない。大連において商業施設の工事費用(請負契約の解釈如何)を巡り、一審で敗訴した清水建設が、中国の最高裁に当たる中国最高人民法院に上訴したとの報道を読んだ。これは民間レベルの問題であり、国が乗り出し、外交問題にすべきことではない。ビジネスにリスクはつきものであり、個々の企業がその負担をする。

台湾の場合、対中貿易の意味は日本とは別の面で甚だ大なるものがあると思う。なぜなら、殆どの台湾人は大陸人とその血筋を同じくするからである。内省人の家庭で話されている台湾語は、対岸で話されている閩南話(minnanhua)とほぼ同じである。公式語である台湾の国語は、大陸の普通語と発音と言い回しに若干の違いはあるが、ほぼ同じである。血筋も言葉も習俗も同じであるが、雰囲気が異なる。雰囲気が異なるのは、政治体制と教育による。

1997年、香港は祖国中国に返還された。香港には新界以南九龍までの大陸部と香港島とに分かれる。香港人の殆どは広東人と血筋を同じくし、通常話されている広東語は広東省一帯で通用する。香港人と広東人の関係は台湾人と福建人の関係に似ているが、勿論前者の関係の方がより緊密である。

香港程ではないが、中国ビジネスを基本とする台湾の帰趨については、香港を「鑑」として、台湾の公民自身が決めるべきことである。共産党政府をはじめ、他国がいろいろと干渉、お節介すべきではない。他方、我々日本人は、日本政府にも本音と建前があること、また国際情勢の変化に応じてそれらは変化することを汲み取る必要がある。例えば、かつて有事立法制定の際、有事の範囲に台湾を含むと明言出来なかった政府が、昨今実質的にこれを認めた類である。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2005-02-24 19:12 | Comments(0)  

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