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「蒋王朝」 ── それは過去の遺物

<台湾>陳政権の「脱蒋介石化」進む
ひ孫も賛意表明

12月25日22時13分配信 毎日新聞

「蒋王朝」 ── それは過去の遺物_c0058035_2244080.jpg【台北・庄司哲也】台湾の陳水扁政権が進める蒋介石元総統の威光を否定する一連のキャンペーンに、元総統のひ孫の蒋友柏氏(31)が賛意を表し、注目されている。友柏氏は25日、陳総統が蒋元総統を記念した「中正記念堂」の名称を「台湾民主記念館」に改めたことについて「個人的には賛成だ」と発言。かつて曽祖父が率いた最大野党・国民党に対しても「自らを調整する能力を欠いている」などと批判した。

 陳政権は来年3月の総統選をにらみ、中国大陸とのつながりが強かった蒋元総統の威光を排除することで、有権者の台湾人意識を高揚させ、与党・民進党政権を後押ししようとしている。

 メディアから意見を求められた友柏氏は「(民進党の)選挙戦略」との見方を示す一方、「『脱蒋介石化』は一つの時代を終わらせるためであり、民主化や文明化に進み、より住みやすい時代になる」と賛意を表した。

 友柏氏の母親は国民党の現職の立法委員(国会議員)。自分は政界に入らず、デザイン会社を設立してF1カーの車体デザインも手掛ける。ハンサムな外見とその生き方に女性を中心に台湾の若い世代に影響を与えている。これまでも「蒋家が台湾人民を迫害したことについて批判を受けるべきだ」などと発言し、周囲を驚かせてきた。

「内省人」か「外省人」か、「正名独立」か「祖国統一」か。これ迄、出身地域や支持政党等で国論が二分されてきた台湾ですが、ここへ来て、与党・民進党の対総統選キャンペーンである事を百も承知の上で、彼(か)の蒋介石・初代総統の曾孫(ひまご)が、「脱蒋介石化」を支持する発言をした訳で、象徴的と言えば象徴的な出来事でした。
蒋介石─┬経国─┬孝文
    │   ├孝武
    │   ├孝勇─┬友柏
    │   │   └友常
    │   ├孝嚴(章孝嚴)
    │   └章孝慈
    └緯国(実父 戴季陶・実母 重松金子)
国共内戦に敗れ、台湾へ党も国家もそっくり移転していた国民党の「中華民国」。大陸出身の「外省人」が主体の国民党政権が、血塗られた二・二八事件を皮切りに、白色テロや長期の戒厳令を以て、台湾の「内省人」を抑圧、君臨してきた事は歴史を繙(ひもと)く迄も無い訳ですが、その「蒋王朝」も内省人初の総統、李登輝氏の登場により終焉を迎えました。以来、国民党は二度の総統選に二度共敗北。民進党の陳水扁総統の下(もと)、来春の総統選の前哨戦が繰り広げられている事は皆さんもご存じの通りです。

次期総統選で、与党・民進党の謝長廷元行政院長(首相)と野党・国民党の馬英九前党主席が事実上の一騎打ちを演じる訳ですが、何(いず)れが勝利しよう共、「蒋王朝」は既に過去の遺物。「時代」は動いており、野党の馬氏が勝利し、韓国同様、政権が交代しよう共、国民党が再び「死せる蒋介石元総統」を持ち出す事はナンセンスでしかありません。その意味に於いて、蒋介石元総統の曾孫である蒋友柏氏の発言は時代を映す鏡であり、出身地域や支持政党の違いを乗り越え、台湾公民が新「台湾人」としてのアイデンティティを確立出来るか否かの試金石と言っても良いのでは無いか。そう、私は感じました。

最後に、平成19年(2007年)も余す所、あと一日となった訳ですが、今年一年、『日臺一宇』を閲覧頂いた諸氏に感謝致しますと共に、事実上の主筆として寄稿頂いた古川宏氏に心より御礼申し上げ、本年最後の投稿とさせて頂きます。

それでは、皆様、どうぞ良いお年を。

平成十九年十二月三十日
竹下義朗 TAKESHITA Yoshiro

by ayanokouji3 | 2007-12-30 22:45 | Comments(0)  

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