北京五輪と台湾問題について-2

5月1日の投稿で、フランス大統領候補・ロワイヤル女史の北京五輪ボイコット発言を取り上げましたが、今回は、その続きとして、先月12日に皇居・宮殿で行われた天皇陛下と温家宝・「中国」(支那)国務院総理(首相)との会見について、取り上げてみたいと思います。それでは、先ずは、毎日新聞記事のご紹介から。
天皇陛下:温家宝首相と会見 北京五輪への招待も

 天皇陛下は12日、来日中の中国の温家宝首相と皇居・宮殿で会見した。宮内庁によると、温首相は「戦後60年にあたっての陛下のお言葉を評価しています」と語り、天皇陛下が05年の誕生日会見で述べた言葉を引用して「過去の事実についての知識が正しく継承され、将来に生かされることが重要です」と話した。

 これに対し天皇陛下は「時がたつと忘れられることも多いので、世界の人々との友好のためにと発言したものです」と語った。

 また、天皇陛下が「五輪の準備状況はいかがですか」と尋ねると、温首相は「準備はうまくいっています。開会式にはぜひ陛下と皇族の方々に来ていただきたい」と述べた。これには天皇陛下は「自分の外国訪問については、政府の方で検討いたします」と答えた。【桐野耕一】

毎日新聞 2007年4月12日 20時18分 (最終更新時間 4月13日 20時51分)

元記事:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/koushitsu/news/20070413k0000m040084000c.html
抑(そもそ)も、支那の国家元首である国家主席(兼中国共産党中央委員会総書記・中央軍事委員会主席)の胡錦涛ならいざ知らず、序列第二位の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(国会議長)はおろか、序列第三位の温家宝首相(以下、敬称略)ごときが、日本の実質的な国家元首である天皇陛下と座を同じくして会見する事自体、外交儀礼上、無礼な話である訳ですが、更に日本政府関係者に対して事前の話も無く、いきなり会見に於いて北京五輪への招請を陛下にするとは、無礼にも程があると言うものです。まあ、2005年5月23日、訪日中の呉儀・支那副首相が当時の小泉首相との会談をドタキャン帰国した前科からすれば、支那の国際的外交儀礼のレベルの低さを改めて見せ付けた形ですが。

扨(さて)、今回はその温家宝による五輪訪中要請に対する陛下の「回答」について、これが本題であります。温家宝が外交儀礼を無視して、いきなり陛下に北京五輪への招待をした訳ですが、陛下は行く共行かない共答えず、唯、「自分の外国訪問については、政府の方で検討いたします」とのみご回答なされました。極めて簡単な回答の様にも思えますが、これは政治的にも極めて重要なご回答だったのです。

前回、ロワイヤル発言を取り上げた際に、私は、北京五輪開催迄に、台湾が「独立」を宣言し、それに反応する形で支那が台湾に対する武力解放(台湾併合目的の軍事侵略)をする様な事となれば、日本が1980年開催のモスクワ五輪の時と同様に、大会をボイコットする可能性がある事を指摘しました。その様な状況下、温家宝の招待に対して陛下が応じる旨のご発言(実際には到底あり得ないが)をなされたとしたら、一体どの様な事態を招来する事となるのか? 例えば、陛下が温家宝の招待を受け入れたとしましょう。すると、陛下の五輪訪中は既定路線となってしまいます。その後、台湾の「独立」宣言を承けて、支那が台湾に軍事侵攻、日本政府が五輪ボイコットを表明したとしたら? 日本は国として北京五輪に参加しない。然し、陛下は北京五輪への招待を受諾している。すると、日本が国として不参加を表明しても、陛下は約束した以上、訪中しなければ外交儀礼を失する事になってしまいます。縦(よ)しんば、陛下が訪中なされないとしても、今度は、「日本政府が陛下の訪中を妨害している」として、支那に日本非難の材料を提供してしまう事になってしまいます。詰まり、今回、陛下が当然の事とは言え、温家宝からの招待を受け流された事は、陛下にとっても、日本にとっても、極めて正しい選択であった訳です。又、政治的発言が憚(はばか)られているとは言え、その一言一句が政治的にも極めて重みを有する性格の陛下による今回のご発言は、日本の国益を損なう事無く、かと言って温家宝=支那に対し角が立つでも無く、陛下の外交的センス(バランス)の高さを内外に知らしめた共言えます。

何(いず)れにせよ、台湾問題は日本の問題でもあり、温家宝=支那の甘言に惑わされる事の無かった陛下を戴く日本である以上、台湾が風雲急を告げる様な事となったとしても、陛下がおられる以上、我々は何ら臆する必要はありません。「天皇陛下(すめらみこと)の統(す)べる国」の民として、おろおろする事無く、どんと構えている事が肝要では無いか、と今回の一件から改めて感じた次第です。
竹下義朗 TAKESHITA Yoshiro

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by ayanokouji3 | 2007-05-04 00:40 | 日本の権威・皇室伝統 | Comments(3)  

Commented by 古川 宏 at 2007-05-04 20:03 x
本日、たまたま、蔵書を開いたところ、昭和61年2月の日経記事で、世田谷の小学生が学校単位で飛ばした風船付の手紙が皇居に落ちて、昭和天皇の目に触れ、卜部侍従に返事を書かせた、という箇所の切り抜きを発見した。
「此頃珍しき美談也」と、小生が記していた。
明治天皇には、梅干で染めた日の丸の旗に感動された話あり、昭和天皇にもこうした佳話あり、日本人は天皇陛下を戴いて幸せな国民だとつくづく思う。
Commented by 古川 宏 at 2007-05-05 19:45 x
中国首相による天皇陛下への「直訴」は、外交儀礼を無視したというよりも、日本側の反応をみるための観測気球に過ぎないとすれば、日本もなめられたものである。他方、過去および現在の日本を貶めるような動きがどの国であったとしても、ムキになる必要はない。憐れむ程度の余裕があるのが、日本の良さであり、懐の深さである。
過去の歴史を総括出来ない国および国民に対し、合掌。
Commented by 古川 宏 at 2007-05-06 20:03 x
北京オリンピック参加保留を示唆しておくことは、今後開催が近まるにつれ、効果があると思われる。公の場では、政府内の誰もそれを言う勇気も覚悟もないので、民主党辺りからそういう話が出て来れば評価に価する。

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