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米下院慰安婦決議案について(2)

件(くだん)の「日本政府に公式謝罪などを求める従軍慰安婦決議」の採決について、米下院外交委員会アジア太平洋・地球環境小委員会のファレオマバエガ委員長(民主党)が、毎日新聞のインタビューに際し、
「決議案は、来月訪米する安倍首相を困らせるのが目的ではない。首相に敬意を払うのが筋で、アクションを起こすとすれば首相訪米後になる」
「首相訪米に合わせて対決ムードをあおるようなことはしたくない。この問題では急がない」
等と答えたそうですが、採決の時期を遅らせようがどうしようが、現時点で日本は十二分に迷惑を蒙っています。それと同時に、米国はよくこうもぬけぬけと「言えたものだ」と言った感想で一杯ですね。

「大量破壊兵器(核兵器開発をも想定?)が存在しているから」と言う理由で始められたイラク戦争。然し、いざ「戦闘終結」してみれば、そんなものは何処にもありゃしない。戦争に乗じてフセイン政権を打倒した迄は良かったものの、肝心の大量破壊兵器が見つからない段になって、「独裁者フセインからイラク国民を解放した」等と嘯(うそぶ)く始末。何でもそうですが、物事「結果良ければ全て良い」と言う訳ではありません。開戦の大義名分が実は「嘘」(謬り)だったとすれば、米英のイラク侵攻は、「解放戦争」では無く、イラクの国家主権を侵害した「侵略戦争」と言う事になります。(ここでは、故フセイン大統領に対する評価をする積もりはありません) 縦(よ)しんば、米国がフセイン政権の圧政からイラク国民を解放しようとした、と100%信用したとしても、では何故、斯(か)くも多くのイラク民間人(非戦闘員)が「誤爆」で死亡しているのか? 「誤爆」=米軍によるミステイクであるなら、それ相応の補償が為されてしかる可(べ)きですが、米国がその責任を全うしているとは到底言えません。イラク・アフガン人捕虜に対するアルグレイブ(イラク)、グアンタナモ(キューバ)刑務所での不当な仕打ち=人権侵害・捕虜虐待に対する総括を米国は「全うした」と胸を張って言えるのか? 誰が見ても言える状況にはありません。

いや、従軍「慰安婦」問題について、そもそも米国が糾弾出来る立場にはありません。例えば、米軍将官に対して、「ウォーカーヒル(在韓米軍向けの慰安婦がいた所)について、どう思う? あんた方、米兵だって韓国人慰安婦のお世話になっていたじゃないか?」、「オキナワについてどう思う? 終戦後、一体どれ程の沖縄女性が米兵に強姦されたと思っているの? じゃなきゃ、父親が何処の誰かも分からないハーフが沢山産まれる筈が無いだろう?」と詰問してみたいですね。

米国は自らを「人権を擁護する民主主義諸国のリーダー」だと信じて、色々と他国の「あら」を探しては首を突っ込んでいますが、お節介にも程があります。いい加減、自分達の足下を見直した方が良いのでは無いか? 余計且つ必要以上のお節介が、米国にテロを引き寄せている事を彼らはそろそろ気付く可きです。でなければ、米国は「テロとの戦い」をこれからずうっと米国と言う国家が消滅する迄続けなくてはならない事になるでしょう。

最後にもう一つ。日本は小泉政権時代、国際社会が反発する中に於いても、英国と共にイラク戦争に興じる米国を敢えて「支持」しました。まあ、私自身は、小泉純一郎と言う人物を好きませんし、彼の政権に対する評価は厳しい方ですが、それはさておき、米国が国際社会の中で孤立する中、米国の側に立っていた日本に対する仕打ちとしては随分ですね。日本国内では「米国との関係を第一に考え」米国の顔色を窺う人々が少なからず居ますが、それは米国とて同じ事です。世界で孤立する中、日本と言う同盟国が味方してくれなかったら? 日本が米国と袂を分かったら? 米国の国際的地位が今以上に低下する事は確実です。であれば、米国はもっと日本に感謝し、日本の事を大事にす可きであり、無理難題を吹っ掛けてくる等、論外。日本もさる事乍ら、米国も自らが国際社会の中で置かれている立場をもっと理解す可きでは無いでしょうか? それが出来ないのであるならば、日本は「無理心中」させられる前に、とっとと米国を見限った方が良いでしょう。

竹下義朗 TAKESHITA Yoshiro

by ayanokouji3 | 2007-03-14 19:12 | Comments(0)  

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