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石破氏の久間発言批判について(2)

昨日、古川さんが、久間防衛相の「米国による対イラク開戦」批判発言に対する石破元防衛庁長官の批判について取り上げられましたので、私もこの件について私見を述べてみたいと思います。

現代日本が国防政策及び戦略の多くを米国に依存している事は私も認めますし、嘗て防衛庁長官の職責にあった国防族の重鎮・石破氏の言わんとする事も理解出来なくはありません。「米国に臍を曲げられたら・・・」と言う危惧が彼の脳裏をよぎったであろう事も想像に難くありません。然し、それでも私は、久間防衛相(や、援護射撃?をした麻生外相)の対米批判を支持します。いや、この程度の批判で同盟関係にひびが入る程、日米関係は薄いものなのか? ならば、そんな「同盟」はとっとと破棄してしまええば良いとさえ考えます。

今回の対米批判で、支那や北鮮と言った「核保有国」を敵にする日本を、いざと言う時になっても米国が防衛しない、と言うのであれば、それは余りにも無責任な話ですし、『日米安保条約』の履行違反に値します。日本は安保条約や日米防衛協力に関する各種合意により、領土内に米軍基地の設置と部隊の駐留を承認し、莫大な資金提供をしています。それらは偏(ひとえ)に「安保条約によって米国が日本を防衛する事」を前提として成されている訳で、巷間で言われる様な「片務協定」とは到底言えない内容です。詰まり、日本は「ただで米国に守って貰っている」訳では無いのです。にも関わらず、対米批判(発言)如きで、日本の防衛と言う「米国の義務」を怠ると言うのであれば、最早、安保も何もあったものではありません。米国が義務(防衛)を履行しないのであれば、日本も義務(基地提供・駐留容認・資金供与)を履行しなければ良いだけの話です。

日本領内の全ての米軍基地の閉鎖、駐留部隊の全面撤退、資金提供の即時全面停止。これが米国にとって一体何を意味するか? 極東に於ける一大軍事拠点の喪失であり、米軍の世界展開に巨大な穴(空白)が生じる事を意味します。それでも、米国は日本防衛義務を放棄すると言うのか? 少し考えれば分かる事です。

日本人はとかく「同盟」と言うと、何が何でも相手を批判してはならないもの、と考える風潮がありますが、それは違います。米国は、軍事関係では日本とは「同盟」ですが、経済関係では「競合相手」であり「敵対勢力」です。それは、米国が「同盟国」である筈の日本に対して、不条理な口実(詰まりは「言いがかり」)を以て『スーパー301条』を乱発した事例が如実に物語っています。

「同盟」とは、ある種の問題について「共通の利害関係」にある者同士が結ぶものであって、「共通の利害関係」が消滅したり、逆に競合関係になれば、何時(いつ)でも破棄される、そう言った性格のものです。その意味では、「永遠の同盟関係」等と言うものは、この世に存在しません。ですから、「同盟」である日米関係についても、一方の当事者である日本人は、もっとドライな目で見る可(べ)きですし、日本にとってマイナスであると判断したなら、何時でも破棄する。その位の見識と覚悟は持ち合わせておかなければならないものと私は考えます。

竹下義朗 TAKESHITA Yoshiro

by ayanokouji3 | 2007-02-05 21:32 | Comments(0)  

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