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台湾関連報道の「明」と「暗」

呉淑珍・総統夫人が公金横領等の罪で起訴。与党・民進党の立法委員(国会議員)で大物の林濁水、李文忠氏が総統に抗議する観点から辞職表明する等、陳水扁・総統を巡る環境は極めて厳しいものがあり、台湾の政局が混沌としている事は否めません。翻ってみれば、北京では胡錦涛・支那国家主席が12日の孫文生誕140周年を記念しての講演に於いて、相も変わらず、「台湾を本土と平和的に再統一することは果たさなければならない義務」・「台湾でのいかなる分離独立の動きにも断固反対」のお題目を繰り返す始末。まあ、今日明日に支那軍が台湾に侵攻する訳ではありませんが、総統は辞職しろ、いや辞職しない、と言った「痴話喧嘩」に明け暮れていられる程、台湾政界は暢気でよいのか? そんな事では何時迄経っても、WHO(世界保健機関)にも国連(聯合国)にも加盟出来ないですよ、と忠告してあげたい程です。とは言え、これは政治の話であり「暗」のニュースですが、「明」のニュースもきちんとあります。

時は今月3日、場所は東京。この日、秋の叙勲が日本政府によって発表されましたが、同時に、外国人叙勲受賞者の一人として、台湾人の黄霊芝(本名・黄天驥)氏、御年78歳に旭日小綬章が授与される事が発表されました。黄氏は国民党一党独裁政権下、然も戒厳令下の1970年に、日本語で俳句を詠む「台北俳句会」を設立。以来、毎月第2日曜日に月例会を開き、日本文化の紹介と俳句の普及に努めてきた事が今回の授賞の切っ掛けだそうです。とは言え、当のご本人は、「何もしていないのに、なんでわたしに・・・」と驚いたそうです。

台湾には、主として日本のサブカルチャーが大好きな「哈日族(ハーリーズ)」と呼ばれる若者達がいる事は、様々なメディアを通して日本でも割と知られている事ですが、「親日」の土壌は何も「哈日族」だけが醸成している訳ではありません。黄氏らの台湾俳句や、孤蓬万里氏らの『台湾万葉集』(短歌)と言った、老世代の日本文化継承・台湾化が少なからぬ貢献をしている事を ── たとえ台湾俳句や短歌の詠まれたものを知らなく共 ── 俳句や短歌の発祥国に住む我々日本人がもっと知っておく可(べ)きでは無いでしょうか。

今回、総統の去就でもめる台湾政界報道の中、黄氏の叙勲授賞報道は、私にとって一服の清涼剤になった訳ですが、今後も、殺伐としたニュースでは無く、この様なほっとさせられる、そう言ったニュースが時折、台湾から流れてくる事を期待しています。

竹下義朗 TAKESHITA Yoshiro

by ayanokouji3 | 2006-11-16 22:51 | Comments(0)  

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