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陳総統の日台軍事同盟発言について

 以下は、『台湾週報』に掲載された記事ですが、先ずは、お読み下さい。
陳総統「台日の準軍事同盟関係に期待」

 陳水扁総統はさきごろ、日本のフジテレビの取材に応え、現在台湾と日本は過去30年間で最良の時期を迎えているとの考えを述べるとともに、両国が準軍事同盟関係を締結することに期待を示した。また、10月末に開通予定の台湾高速鉄道(台湾版新幹線)の開通式典に、9月で退任する小泉首相を招待したい意向を述べた。

 これは陳総統が9月初めにパラオを訪問した際、同テレビ局が取材したもので、9月9日に報道番組の特集として日本で全国放送された。陳総統はこのなかで、2000年の就任当時、中国が台湾に照準を合わせ配備しているミサイルは200基であったが、現在その数は820基に増え、中国はさらにこれを毎年100~120基の割合で増やし続けており、台湾に対する武力行使を依然放棄していないと指摘した。また、中国は現在、台湾に対する侵攻計画として ①2007年までに随時戦闘可能な作戦能力を備える ②2010年までに全面的かつ大規模な戦闘能力を備える ③2015年までに台湾侵攻の必勝能力を備える、の3段階に分けた計画を推進しているとの情報を入手していることを挙げ、警戒感を示した。

 陳総統はさらに、日本と米国が昨年2月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で台湾海峡問題の平和的解決を共同の戦略目標の一つとして盛り込んだことに深い謝意を表した。また、台湾と日本の間に正式な国交はないものの、台湾は日本と準軍事同盟関係を形成することを望んでいるとの考えを述べた。

 中国が台湾国内の分裂を図ろうとしていることに関し、陳総統は「中国は台湾が主権国家であることを認めておらず、台湾の国民によって選出された政府と直接協議することを避け、故意に台湾の野党との協議を進めている。これは明らかに台湾に対する統一戦線工作であり、台湾内部の団結を妨害し分裂させようとする行為に他ならない」と指摘した。そのうえで、台湾の一部の政党やリーダーが中国共産党の統一戦線工作に翻弄されている現状に強い遺憾の意を示した。

 また台湾から中国への投資が急増している問題については「台湾は中国に対する危機感と警戒を失ってはならない」と強調した。さらに、台湾には中国市場に幻想を抱き、中国への投資や貿易を拡大しようとする人も多いが、こうした人々のなかにもすでに台湾主体の立場でビジネスをしなければ自分自身に非常に不利となり、台湾という後ろ盾がなければ台湾のビジネスマンは存在できなくなるという認識が生まれ始めているとの見解を示した。

 陳総統は、台日関係が過去30年で最良だとの考えを示したうえで、9月で退任する小泉首相について、中国に対して「ノー」と言える首相であったことを強調し、心からの敬意を表した。また10月末に開通する台湾高速鉄道の開通式典に小泉氏を招待したい意向を示した。

 一方、同番組にゲスト出演した日本の超党派国会議員組織「日華議員懇談会」の会長を務める平沼赳夫・衆議院議員は、中国のミサイルのうち300基は日本に照準を合わせたものだとの情報があること、昨年中国が「反国家分裂法」を制定し、台湾への武力行使を辞さないと表明したこと、さらに中国とロシアが海軍の合同演習を実施したことなどを挙げ、台湾海峡は日本の生命線であり、両岸問題の対話による平和的解決は日本の利益にも合致しているとの考えを示した。平沼氏はさらに、現状を客観的に見て、中国が毎年二ケタの割合で軍事予算を拡大していることはまさに周辺地域に対する脅威となっており、中国の潜水艦が白日下で堂々と日本近海に現れ、東シナ海で油田開発を続けている現状においては、中国の動向に警戒せざるを得ないことを指摘した。そのうえで、台湾と日本、米国はこの問題に注目し安全保障の維持に努めるべきだとの考えを示した。

 8月24日、静岡県の陸上自衛隊東富士演習場で行われた「富士総合火力演習」を、胡鎮埔・台湾陸軍総司令官が視察した事は各種メディアを通じて明らかになった事ですが、今回、陳水扁・台湾総統自身が日本との軍事同盟締結に付いて言及した事で、今後、日本は今迄あやふやにしてきたこの問題に対する態度を明確にしなければならない時期に差し掛かってきたと言えます。

 間もなく、「靖国参拝」問題で支那・韓国との外交関係がぎくしゃくした小泉政権は終焉を迎えます。尤も私から見れば、一国の宗教施設であり、戦没者の追悼施設でもある靖国神社への参拝の可否に口出しした支那・韓国の言動は、明らかに内政干渉であり、その様な干渉に屈する事は、日本の国家主権の根幹に関わる重大問題であり、日本が受け容れられる筈の無い事柄でした。話が横道に逸れましたが、その小泉政権の5年間、支那は靖国問題・歴史認識問題・化学兵器遺棄問題・尖閣諸島問題・EEZ問題・原潜領海侵犯問題・反日デモによる在支那公館及び日系企業襲撃問題・東支那海ガス田問題、と幾つもの問題に悩まされました。そして、明らかに支那側に原因がある事柄に付いても、「日本に原因があるから」と言う一種の居直りで、謝罪も反省もせず、尊大且つ慇懃無礼な態度を取ってきました。まあ、一昔前ならば、此処で日本の「媚中派」や「親中派」と呼ばれる政治家や、チャイナスクールの外交官達が、支那に頭(こうべ)を垂れて屈服したのでしょうが、今の日本国民は最早その様な屈辱を甘受する程、甘くはありません。そこへ持ってきて、自民党総裁選です。

 大方の見方同様、安倍晋三・内閣官房長官が後継総裁に選出され、そして、総理の座に就く事でしょう。そうなれば、当然、対支那・対韓路線が劇的に転換される事は到底考えられません。「特定アジア」諸国に対する外交は小泉路線が踏襲される事でしょう。それを踏まえてか、わざわざ、自民党総裁選のこの時期を選んで、陳総統は「日台軍事同盟」に言及しました。これは、言うなれば、最早、政権を去る小泉総理にでは無く、安倍新総理に対してボールを投げた事になる訳で、そのボールを受け止める安倍政権に、様々な問題で衝突を繰り返す「敵国」支那との関係を維持するのか、様々な分野で熱いラブコールを送り続けている「親日」台湾と復縁するのか、正に、「ショー・ザ・フラッグ」を迫っているものと言えます。

 私は予(かね)てから、日台両国は同じ価値観を共有する海洋国家であり、一蓮托生の関係であり、更には、台湾海峡から東支那海・南支那海が、日本にとっての生命線であるとの観点から、日台両国が政治・文化・経済・軍事のありとあらゆる分野で関係を強化する必要性を説いてきました。その点からも、陳総統の軍事同盟発言を非常に歓迎しています。今後、発足する安倍新政権が、従前の「私的」・「お忍び」的な両国政府間交流を、「公的」且つ堂々としたものに昇格させ、一日も早い国交樹立に踏み切る事、ひいては両国が東アジアの「枢軸」として積極的な役割を担う存在となる事を切に願っています。

竹下義朗 TAKESHITA Yoshiro

by ayanokouji3 | 2006-09-13 20:20 | Comments(0)  

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