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司馬遼太郎『項羽と劉邦』について-1

9月9日付読売新聞夕刊に、「司馬遼『項羽と劉邦』中国で出版」という見出しの記事があった。それによれば、李登輝氏と対談し、著作などでその「台湾人に生まれた悲哀」という言葉を紹介した司馬氏は中国側の反発を招き、台湾寄りだとして「右翼作家」などと批判されることが多く、作品が紹介されることはほとんどなかった、とする。

李登輝氏と対談することが台湾寄りとなり、台湾寄りが「右翼作家」につながるというような中国側の頑迷固陋(ころう)な発想からは真の日中友好が得られるとは迚(とて)も思われない。

ところで、司馬氏の死後、某新聞が「戦後のマルクス主義の台頭に抗し得た真の愛国者」の類いの恭(うやうや)しき賛辞を以て持ち上げていたのには、本当に驚いたことを鮮明に覚えている。

台湾寄りだという理由で同氏を「右翼作家」として貶(おと)しめて来た中国も中国だが、同氏の遺志に反して持ち上げ過ぎた日本の新聞もレベルとしては同じである。

(補記)
司馬氏の作品には、自己の軍隊体験から戦前昭和日本への呪詛と自虐の念が感じられるだけである。小生も同氏の『台湾紀行』を読み、日本語を解する台湾人に贈ったことがあるが、何故か読後感はついぞ聞けなかった。同氏の本性を見透かしていたのかも知れない。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2006-09-10 19:31 | Comments(0)  

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