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日本は「ASEAN+3」とは別に

日本は現在、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国との間に、ASEAN+3(日本・支那・韓国)、更に印度・豪州を加えた枠組みでの地域フォーラムに参加しており、東南アジア地域との信頼醸成・関係強化の礎としています。然し、これとは別に日本は、「太平洋・島サミット」の場を通じて、太平洋諸国との関係をも維持発展させています。さて、その様な中、台湾も自国と国交のある太平洋諸国との関係強化に腐心しています。
太平洋地域で関係強化表明 陳水扁総統、中国に対抗

【コロール(パラオ)5日共同】台湾の陳水扁総統は5日、訪問先のパラオで記者会見し「太平洋の友好国と全方位のパートナーシップを築き、海洋民主連盟を強化すれば、絶対に北京当局(中国)に負けることはない」と述べ、中国に対抗して、太平洋島しょ国との関係を強化していく決意を示した。
 陳総統は台湾と外交関係を持っていたアフリカのチャドが、8月に突然中国と国交を回復したことに触れ「中国は横暴で道理をわきまえず、台湾をはずかしめた」と非難。台湾の国際的な活動空間を広げるため、外交活動に努める必要性を強調した。
 太平洋地域では中国が4月、国交のある島しょ国と経済協力フォーラムをフィジーで開き、包括的な経済協力を発表している。
URL:http://www.excite.co.jp/News/world/20060905203342/Kyodo_20060905a386010s20060905203342.html
ところで、日本と台湾の間には国交が無い訳で、二国間での交流 ── 特に政治・外交面 ── は無きに等しいのが現実です。(実際には、先の陸自演習への台湾陸軍総司令官の「私的な立場」での視察に見られる様に、水面下での交流は相当進んでいるのだろうが) そこへ持ってきて、台湾総統の太平洋諸国訪問です。太平洋諸国との地域フォーラムの場を通して、日台両国首脳が互いに顔を合わせ意見交換する。二国間対話では支那も非難のトーンを格段に上げざるを得ないでしょうが、例えば、「太平洋・島サミット」と言う太平洋諸国が「主役」の地域フォーラムに、日台両国が申し合わせる事無く「あくまでも偶然に」参加、「たまたま」会場で顔を合わせる事に迄、横槍を挟んでは来ないでしょう。

以前も唱えた事ですが、日本も台湾も共に周囲を海に囲まれた海洋国家です。大陸に根を張る支那や、大陸から突き出した半島に居を構える韓国・北鮮とは地政学的にも明らかに性格が異なります。海洋国家ならば海洋国家として、太平洋諸国や東南アジアに於ける海洋国家、フィリピン・マレーシア・インドネシアと言った諸国と、陳総統が述べた「海洋民主連盟」を構築し、大陸とその「付属品」である半島に対抗す可きです。

東南アジア諸国は、日本が地域の盟主(宗主国)として君臨する事は望んでいませんが、同時に「急速に擡頭している」(とされる)支那の独り勝ちも望んではいません。日本と支那の力が均衡する事を望んでいる訳で、支那の暴走(中華朝貢秩序の再興)を抑止する点からも、日本は文字通り「シマ」(島=海洋)に於ける主導権を掌握しておく必要があります。その手始めとして、地政学的・戦略的要衝である台湾との関係を強化しておく事は、日本にとってプラスにこそなれ、決してマイナスとはならないでしょう。

竹下義朗 TAKESHITA Yoshiro

by ayanokouji3 | 2006-09-05 21:58 | Comments(0)  

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