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ドラマ『大地の子』について-4

どの国でも体制移行期に、旧体制と新体制が一斉に全て入れ替わるのではないのと同様に、中国も蒋介石が台湾に逃れる迄は固より、またその後も旧社会の遺物である地主や資本家は残った。

度重なる反右派闘争の中で、彼等は一旦、粛清・淘汰されたが、その精神は経済が優先されるようになると復活し、結局は蒋介石時代と同様の汚職が蔓延(はびこ)るようになる。無論、反右派闘争華やかなりし時代も、党の掲げるお題目通りに、党幹部が皆廉潔であったとはお世辞にも言えない。

民族性といえば、その通りである。他方、人間の欲を一概に否定してしまっては、発展の契機をなくし、芽を摘み取ることになる。これは社会・個人共に篤と考えるべきことである。

余談ながら、文革は反右派闘争という大義名分の下に、古いものは一切合財「焚書坑儒」に処することを目指した訳であるが、風雪に耐え忍び、今尚生き残っているものは伝統に値すると言うことが出来る。この例としては、映画『覇王別姫』が表出している京劇役者の一世界である。旧体制から新体制への変転に、濁流の中の孤舟の如く翻弄される役者の情愛纏綿とした独特の趣が看取される。

(註)
中国のかつての村社会の陰惨さについては、映画『芙蓉鎮』が参考となる。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2006-02-01 18:43 | Comments(0)  

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