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映画『悲情城市』について-4

そこで、日本が引続き台湾を統治していたら、経済発展は早期にスムーズに進んだのではないかという日本擁護論も台湾人の一部には確かにあった。それは蒋介石に対する批判の裏返しであった。

その台湾支配は、「蒙塵」した亡命政権が、共産党と対峙し「反攻」を標榜しつつ、領民を搾取するという側面はあったものの、日本撤退後の国際情勢の下(もと)にあっては止むを得ないものであったと思う。

考えてみると、個人のレベルにおいて、自分自身が受けた仕打ちはもとより、親兄弟が受けたものによっても恨みつらみが増殖して行くとして、それを糧(かて)に精神的に成長して行くのであればよいが、それがトラウマとなり、自己発展の契機を摘み取るようであれば、寧(むし)ろきれいさっぱりと忘れ去ってしまう方がよい。

個人にとっての歴史の総括というものは、高所に立って遠望するが如き余裕が必要であると思う。台湾の人々が日本や蒋介石政権に対する真の正当な評価を行うことを望むものである。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2006-01-21 19:06 | Comments(0)  

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