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湯島聖堂における所感-2

さて、湯島聖堂では年2回開催される講演会に出席した。出席者は毎回殆(ほとん)どが70代以上の方々である。

最初に片倉もとこ女史の講演があった。日本文化の多重性、多様性を挙げ、「個人が文化を選ぶ時代」であるというのだが、インテリにありがちな地球市民的発想で、判断基準を要するが故に、一般国民には通用しないと思われた。発言の中で特筆すべきは、
  1. 軍隊経験者への聞き取りの中で、訓練は厳しいが、自分で考えることがないので却って楽であったという話を聞いたことがある。

  2. 西洋人のイスラムに対する優越感と劣等感の混じった複雑な思いは日本人の中国に対する思いに酷似している。
の通りであるが、前者は多様性を実現する上での制約を示しており、後者は台湾人の大陸に対するものにも当てはまると感じた。

次に生田総裁による「日本郵政公社の経営改革と展望」という話があった。公社発足後、コストダウンをかなり実現した模様だが、結局のところ日産再生と同様、下請けの利益吸収であり、帳尻合わせに過ぎないと思った。併し、現状のまま推移するよりは、改革断行は時の要求であり、実行した方がよいのは言うまでもない。蓋し、感傷に浸る余裕などはない。

講演の始まる前に、後ろの席の二名のご老人が台湾に旅行したという話を楽しくしているのを聞いた。隣席のご婦人には最近の論語素読の模様をたずねてみた。数十年続けている方々にとっては、論語というものは一種の教典の如く、有難いものなのである。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2006-01-10 20:23 | Comments(0)  

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