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日本の脱中国と台湾の対中接近について

今年は、後年、日中関係にとって大きな転換点となった年として位置づけされることになるのは間違いない。

大前研一氏の近著に、脱中国と中・東欧への着目を説いたものがある。同氏は、かつて米国のITビジネスを礼賛し、その後久しく中国ビジネスの成長性を語っていたが、ここに来てようやく欧州に目を転じて来たようである。同氏にしては遅過ぎる「転向」である。

4月の中国各地における反日暴動は、日本にとって米国における「9.11」に等しい政治的意味をもつ大事件であった。これにより、日本の親中的諸勢力は沈黙を強(し)いられることになった。併し、日本経済における中国の存在とその意味は否定することは出来ない。脱中国とは、評論家的表現であり、また精神的な観点からのものである。それは、目先の利いた、逃げ足の速い企業にとっては可能であるが、そうした企業は実際には少なく、最早(もはや)身動きの取れない企業が多いものと推測する。

一方、台湾野党の政治家連による「探親」(帰省)という政治ショーは、与野党の勢力逆転はもたらさなかったものの、台湾政界の対中接近という大きな流れは依然続いている。

日本では中国熱がほぼ冷めたが、台湾では実利中心の動きが続いている。日本ではマスコミにより作り上げられた幻想・妄想に惑わされていたのが今頃になって正気に戻ったのに対し、台湾の方は大陸側の遣り口を熟知した上で、駆け引きの応酬に終始しているように思える。与党の対中政策の方向感が定まらない中、台湾は今のところ、外交巧者であるというべきである。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2005-07-03 20:23 | Comments(0)  

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