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佐藤優著『国家の罠』と日本の主張について

佐藤優著『国家の罠』の書評を読み、外務省の内幕暴露本として興味を覚えたので、遅れ馳(ば)せながら一読した。

「外務省のラスプーチンと呼ばれて」という副題に複雑な心境を推察する。適切な表現ではないが、「狡兎(こうと)死して走狗(そうく)烹(に)らる」ということであろう。

同書(58、59、120頁)によれば、
外務省における、「スクール」(英米、中国、ドイツ、ロシア)と「マフィア」(条約局、経済協力、会計、サミット)の存在を指摘し、現在は「水槽」の中で熱帯魚(外務官僚)たちが伸び伸びと暮らす居心地の良い世界である。現実の国際政治は「水槽」の外側、大きな海で行われており、国民の利害を体現する外交を実現するためには、政治家の外務官僚に対する圧力は不可欠と考える。
とのことである。

著者の蹉跌(さてつ)は、ロシアの専門家として自信過剰に陥ったことであり、有名になり過ぎたことであり、頑固な性格から人の責任迄(まで)背負ったことである。対露交渉が二転三転するのは、人間関係を重視する余り、ロシア国内の事情に対応出来なかったからである。勿論、日本側の政権交代による方針のぶれ以外にも、日本国民のロシアに対する拭(ぬぐ)い難(がた)い猜疑心もある。

結局、何事にも肩入れし過ぎると、悲惨な結末が待っていることが多いということである。さりとて、確固たる主義主張がなければ、八方美人となり、或(ある)いは「虻蜂(あぶはち)取らず」ともなる。

これをアジア外交に置き換えてみれば、見込みのない阿諛追従(あゆついしょう)外交を続けるよりも、これ以上の妥協はしないという突っぱねた態度をとることが最も必要である。先行きを心配をするから益々暗い見通しとなる。

今後、韓国に対しては、日本での賎民(せんみん)の歴史と同和事業の経緯を説明すればよいし、中国に対しては、漢民族の奴隷的資質と捏造された歴史を詳細に指摘し、国内では、慰安婦問題同様、南京事件についての記述を教科書から全面削除させることである。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2005-06-20 19:12 | Comments(0)  

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