人気ブログランキング | 話題のタグを見る

中国の資源開発と環境悪化について

5月31日の日経新聞朝刊に、次のニュースがありました。
東シナ海の天然ガス田開発を巡る日中局長級協議が30日、北京の釣魚台(ちょうぎょだい)迎賓館で始まり、初日は約6時間協議した。中国が提案している共同開発について日本は
  1. 具体的な情報の提示
  2. 中国が進める開発作業の停止
等を要求した模様だ。
中国が日本にガス田の共同開発を提案している訳ですが、この東シナ海のガス田は、中国とアメリカ石油メジャーの共同開発で進んでいたのが、昨年アメリカ側のパートナーが相次いで撤退した為、資金、技術に不安を持つ中国が日本を巻き込もうとしているようです。

中国の巨大プロジェクトの例として、タクラマカン砂漠内で取れる天然ガスを北京、上海に送る大パイプラインを作っていますが、これも同様に外国参加企業が全て撤退しています。また、流域に住む2000万人が強制移住させられ、水位が50mも上昇する三峡ダムは竣工しましたが、上流から流れ込む土砂で寿命は短いと言われています。尚、揚子江の水を華北へ送る「南水北送」計画は、地下に大規模送水管を敷設するそうです。

こうして中国の巨大プロジェクトを見るとエネルギー、水資源確保に国を挙げて取組んでおり、外国から見ると採算の取れないものばかりです。国益から考えると採算は度外視となるのでしょうが、90隻の潜水艦、台湾海峡を睨(にら)む600基のミサイルとなると、台湾同胞への恫喝であり、東アジア諸国への挑戦を企図する以外の何物でもありません。中国の軍事力増強は近隣諸国に対して軍拡競争を引き起こしかねない危険を伴っており、日本としてもその動向に十分なウオッチが必要不可欠です。

かって中国では「上有天堂、下有蘇杭」(天上界には極楽浄土があり、地上界にはそれに匹敵するような蘇州、杭州がある、という意味)と謳われて、山紫水明の自然が江南(揚子江下流南岸の江蘇省一帯の地方)の豊かさを支えていましたが、今や江南の山河はゴミと汚水にまみれ、往年の「面影」はありません。中国国内を廻って残念に思うのは、自然環境の悪化と国民や国家のことを考えない汚職幹部の存在です。拝金主義に汚染された人々は、自分の利益を優先し、環境の悪化を気に留めません。金銭による精神の堕落と環境汚染は表裏一体です。

中国の指導者が「国を愛し民を愛する政治」を行うよう、切に期待したいものです。

与那嶺文郎 YONAMINE Fumio

by ayanokouji3 | 2005-06-02 23:44 | Comments(0)  

<< 中国崩壊と日本の役割 天安門事件16周年に思う >>