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大震災・原発避難者について-2

 大震災と原発の事故対応に際し、菅民主党政権の無能ぶりを国の内外に晒している訳だが、これは総理の資質や政権内部の混乱と無力に全て起因する訳では無い。逆説的に言えば、「官僚の無能ぶり」も大きく影響している。

 官僚 ── お上(おかみ)── と言うものは、前例の無い事はしたがらない。内部に有能な若手が入り、優れた施策を提案してもなかなか採用されない。それはとどの詰まり、幹部が「無難に役人人生を送ってきた」結果、前例が無くどの様な結果が生じるか分からない事には手を出したがらない気風が大きく影響しているからである。

 お上と言うと、概して中央 ── 国家公務員 ── にばかり目が行くが、地方公務員とて同様である。住民が困って何かしらの相談をしに行っても、納得のいく様な対応はなかなか望めない。兎に角、システム上「硬直している」のである。その結果、在野有志がNPOやNGOを立ち上げ、行政に代わって何かしらの施策を打ち出し、それが軌道に乗った所で徐(おもむろ)に行政が支援の手を差し伸べたり、事業に参画したりするのが常である。この様な事例は全国津々浦々の自治体で見られる事であり、そこから得られるのは「お上に過度の期待を寄せるな」、「お上に頼るな」と言う教訓である。

 今次大震災に際し、国の内外から多額の義捐金が寄せられたにも関わらず、未だに被災者の元に満足に届かないのは、硬直した行政システムの欠陥もさる事乍ら、それ以上に、お上を構成するお役人自身にも大きく起因しており、「融通が利かない」、「機転が利かない」お上特有の悪弊が顕著になったに過ぎない。

 被災者に自助努力を求めるのは随分と酷な話ではあるが、お上に過度の期待を寄せる事は、それに比例して大きな落胆を味わう事でもある訳で、この際、「お上は頼りにならない」位の心持ちでいた方が精神衛生上も宜しいのでは無いだろうか。

竹下義朗 TAKESHITA Yoshiro

by ayanokouji3 | 2011-06-16 22:22 | Comments(0)  

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