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「山県有朋と明治国家」について-1

 山県有朋(やまがた-ありとも)抜きで明治国家を語ることは出来ないことは誰しも承知しているものの、兎角(とかく)マイナスイメージで捉えられて来た評価を見直す試みとして、井上寿一著『山県有朋と明治国家』(NHKブックス)が出た。

 山県の伊藤・桂・西園寺(さいおんじ)・大隈・原との関係における日本の政治外交への影響力の程を時系列的にあらためて知ることは、平成の今を生きる我々が国家体制のあり方につき思いをめぐらす上で非常に参考となる。

 「分裂した日本近代史像は、山県をとおして再構成した明治国家を考えることによって、統合すべき」という筆者の主張には全く同感である。

 小生思うに、「船頭多くして船山に上る」程肥大化した国家において冷徹で、石橋湛山(たんざん)の言葉を借りれば、「老練な操り師」の存在する余地がないのは当然のことで、国家の資源を再配分する民主党の試みが操り師のいない人形の「醜い踊り」として既に頓挫したことが全国民に判明しただけでも一つの進歩である。今後は数多(あまた)の国家像の設計が淘汰後、逐次実行に移され、試行錯誤を経て何(いず)れ実を結ぶのを気長に待つのみである。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2011-01-11 21:41 | Comments(0)  

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