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尖閣問題について-1

日本人として中国より彼此(かれこれ)言われたくないのが、靖国問題と尖閣問題である。前者が精神的で崇高且つデリケートな問題であるのに対して、今回の後者の実体法に絡んだ問題は目に見える形での明確さがある丈けに、両国とも一歩も引けず、膠着状況となっている。この状況は、逆説的に言えば、両国間の「距離」を調整するこよなき機会となることであろう。

中国に関するノウハウ本が多く出回り、中国および中国人に関する世間の知識レベルは以前より相当向上している。併(しか)し、飽迄(あくまで)も聞き齧(かじ)りである。他方、思想界・経済界を問わず、中国に対する漠然とした憧憬や思い入れから未だに抜けきれぬ向きもある。それらのことが、久し振りに浮上した尖閣問題に対して、紋切型の意見ばかりで、これといった適切な意見が出て来ない要因となっているものと思う。

小生にとって日頃、話相手となっている中国人達は、こと尖閣問題に関しては、「黙して語らず」であり、話題をそちらに向けようとしても反応薄であるのは止むを得ない。日本に同化したい彼等であってみれば、日本のことを悪く言いたくない。さりとて、「祖国」の要求にも無関心ではいられない。

尖閣問題については、自民党政権時代、かなり曖昧にして来た両国間の「距離」を一旦限りなく遠いものとし、模索・試行錯誤・調整、然(しか)る後、程(ほど)好い処に着地させるというのが理想的である。民主党政権にして、諸政策に何ら見るべきものなく、悉(ことごと)く失敗したとしても、苦心惨憺(さんたん)して対中関係を本来あるべき姿に一変させることが出来たとすれば、その時は、大いに評価したい。

古川 宏 FURUKAWA Hiroshi

by ayanokouji3 | 2010-09-23 22:51 | Comments(0)  

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