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支那関連二記事考

日本では目下の所、7月11日投開票の参議院議員選挙に耳目が集まっているが、日本の近隣に目をやると、其処には日本国内とは違った別種の問題が横たわっている事に気付かされる。と言う訳で、先ずはネット記事を二つご紹介しよう。


中台FTA調印 中国譲歩、政治交渉に軸足

6月30日7時55分配信 産経新聞

 【重慶=矢板明夫】「多くの(中国)大陸の人は、台湾と政治分野での交渉開始を期待している。理事長はどう考えるのか」。29日、重慶市内のホテルで行われた経済協力枠組み協定(ECFA)調印後の記者会見で、台湾の海峡交流基金会の江丙坤(こうへいこん)理事長は中国人記者の質問に対し、一瞬戸惑った表情を見せてから、「経済分野の問題はまだたくさん残っており、政治問題に関する交渉を開始する予定は今のところない」と、言葉を選びながら答えた。
 中国との関係重視を強調する台湾の馬英九政権が2008年5月に発足して以来、中台双方は5回の民間窓口のトップ会談を重ね、今回のECFA調印をはじめ、経済分野の統合に向けて大きく前進した。しかし敏感な政治問題は棚上げされたままで、中台間の政府間交流は陳水扁前総統時代からほとんど進んでいない。
 今回のECFAの交渉において、中国側は馬政権との関係重視を優先するため、国内の不満を抑えつつ、大きく譲歩したと指摘される。台湾から輸入する農産物や工業製品に対し関税を免除する一方、台湾に対し農産物の市場開放を強くは求めず、労働力輸出もしないことを約束するなど、片務的な部分は多くある。台湾からの大量の輸入品のため福建省など周辺の農業・漁業従事者の生活に影響が出ることも指摘され、「(アヘン戦争での)南京条約以来の不平等条約だ」とECFAをやゆする中国人記者もいる。
 中国側の思惑は、ECFAの調印を一つの区切りにして、これからは政治分野における交渉を開始させ、胡錦濤政権の任期が続く13年春までに中台統一への道筋をつけることにある。
 中台関係筋によると、清朝を倒した辛亥革命100周年に当たる11年10月に、中国は革命の発端となる武装蜂起があった武漢市で盛大な記念活動の開催を計画しており、その際、台湾の馬総統を招待し、胡国家主席との会談を実現させる構想をもっているという。
 今回のECFAの調印で、解決しやすい経済問題はほぼクリアされたと指摘されており、これからは残された難しい問題に着手しなければならない。今後の交渉の中で、中台双方の立場と思惑の違いは、対立点として浮上する可能性があり、「中台の蜜月時代はECFAの調印がその頂点かもしれない」(中台関係筋)ともみられている。



パンチェン・ラマが活仏転生選定=ダライ後継見据え実績―チベット

7月4日16時49分配信 時事通信

 【北京時事】新華社電によると、中国政府によって認定されたチベット仏教第2の高位者パンチェン・ラマ11世(20)がチベット仏教の活仏の転生(生まれ変わり)を選定する儀式が4日、チベット自治区ラサ市のジョカン寺(大昭寺)で行われた。同仏教最高指導者ダライ・ラマ14世(74)がインドに亡命して不在の中、活仏転生儀式で重要な役割を果たすことで、同14世の後継選びに向けて実績を積み上げている。
 儀式は2000年3月に死去した第5世徳珠(ドジュブ)の転生を選定するもので、あらかじめ2人に絞り込まれた候補者の中から、同11世がくじ引きをした結果、ロサン・ドジェ少年(4)が選ばれた。同自治区政府の承認を経て第6世徳珠となる。
 新華社電は、転生の手続きが中国政府のチベット仏教活仏転生管理規則に従って実施され、出席した仏教関係者が「宗教儀式、歴史的な制度に完全に合致している」と手続きの正当性を強調したと伝えた。
 パンチェン・ラマ10世の後継をめぐっては、ダライ・ラマ側と中国政府がそれぞれ転生を認定した経緯がある。ダライ・ラマ14世の後継でも同様の事態が予想される。


事実上の「第三次国共合作」に政権維持の望みを託す台湾の中国国民党(「国民党」の正式名称は「台湾国民党」では無い)にとっては、国内の民主進歩党(民進党)や台湾団結聯盟(台聯)と言った独立派勢力を掣肘する為にも、赤化支那の共産党政権との関係維持強化は不可欠だろう。ましてや、今回の中台ECFAは支那側にしてみれば一種の「不平等条約」と言っても良い程の内容でもある。然し、その不平等条約を締結しても、台湾市場を自国の経済圏に完全に組み込み、更に政治統合(支那による台湾の併合)を果たせば、今度は単なる「国内問題」に変わる訳で、後はどうにでも出来ると言う皮算用なのだろう。でなければ、この様な不平等条約を支那が積極的に締結する訳が無い。政治や外交には何事にも「裏」があるものだが、これ程分かりやすい「裏」も珍しい。尤(もっと)も、だからこそ、先月26日に台北市内で10万人規模(主催者発表)のデモが繰り広げられた共言える。

次にご紹介した記事は、北印度に亡命中のダライ-ラマ14世に次ぐチベット仏教第二位の指導者、パンチェン-ラマ11世(パンチェン-エルデニ)が、高位活仏(リンポチェ)の選定を行ったと言うものだが、問題は今回選定された高位活仏にあるのでは無い。選定を行ったパンチェン-ラマ11世にある。

パンチェン-ラマ10世の崩御後、ダライ-ラマ14世によって選定された後継者は中共によって拉致誘拐され、それに代わって中共が選定した人物が、今回、徳珠6世を選定したパンチェン-ラマ11世なのである。正統チベット政府(ガンデン-ポタン)の側から見れば、中共が擁立したパンチェン-ラマ11世は「偽パンチェン-ラマ」なのだが、その偽ラマが高齢であるダライ-ラマ14世の崩御後、後継者選定に関わる可能性が高い ── と言っても、実際の選定は中共が行うのであろうが ── 事である。詰まり、ダライ-ラマ14世の崩御と共に、北印度に亡命中の正統チベット政府にも危機が訪れると言う事でもある。

支那は人民元のレートを不当に操作し、又、日本を含む諸外国の知的財産・商標権を著しく侵害する中で、経済力の伸張を図っている。そして、それに比例する様に、軍事力も急速に増強し、米中両国の「G2」によるアジア太平洋地域の分割を本気で考えている周回遅れの帝国主義国家でもある。彼等にやりたい放題され続ければ、台湾はおろか朝鮮半島、更には日本をも勢力圏に飲み込まれる事は目に見えている。然も、日台に較べ文化文明度はまだまだ劣っており、大東亜戦争終結後、台湾に進駐してきた蒋介石率いる国民党軍兵士に勝る共劣らないものがある。

欧米列強による植民地支配は「文明国が未開国を統治する」事が建前であったが、支那によって周辺諸国が支配される様な事となれば、それは「後進国が文明国を統治する」と言う正に我々にとっては悪夢と言っても過言では無い事態に直面する事になるだろう。私個人にとっては「空恐ろしい」以外の何ものでも無い。そうならない為にも、日本は自国の殻に何時迄(いつまで)も籠もらず、台湾やチベット、ウイグルと言った支那が関わる問題に、積極的に「首を突っ込む」位の意気込みで臨む可(べ)きだろう。ただ、その前に、頻発するストライキやデモ、更には人件費の上昇でメリットが急速に薄れている「世界の工場」から日本企業が撤退する事が先決なのだが、ブラックホール共言える支那市場から抜け出すのは並大抵の事では無い。

「巨大な中国市場」と言う幻想を今尚信じ、撤退を躊躇している日本企業も少なく無いだろうが、時が経てば経つ程、蟻地獄に填った蟻の如く抜け出す事が難しくなるでろう支那市場から、多少のリスクやダメージを被ったとしても、一刻も早く撤退するのが得策であるし、日本政府・経済産業省も撤退を支援する様な政策をとってもらいたい。

繰り返すが、中台ECFAは支那にとっては不平等条約であるが、後で一時的に被るであろう損失を何十倍、何百倍にもして取り返す事が出来ると考えているシロモノである。一時的な目先の利益に惹かれる財界人の感覚も理解出来なくは無いが、長期的、超長期的な視点で日本にメリットがあるや否やを、きちんと考えた上で日本は支那と接していく必要があるし、ブラックホールに呑み込まれない為にも余り深入りする事無く、常に一定の間合いを取っていく事が肝要と言えるだろう。

竹下義朗 TAKESHITA Yoshiro

by ayanokouji3 | 2010-07-06 23:44 | Comments(0)  

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