今年の2.28事件記念日について
日本では昭和11(1936)年2月26日に起きた陸軍青年将校等によるクーデター未遂事件「2.26事件」が夙(つと)に有名であるが、台湾ではその2日後の「2.28事件」が人々の記憶に深く刻まれている。
1947(昭和22)年2月28日、台北市内で闇煙草を販売していた本省人の女性に対し、外省人の役人が暴行を加えた事がきっかけとなり、台湾全土に波及した本省人による抗議行動であるが、蒋介石の国民党政権が外省人の憲兵・国民党軍兵士を動員して武力鎮圧。その後、戒厳令が布告される事となるが、何と布告が解除されたのは40年後の1987(昭和62)年。その間、権力を背景に国民党政権は多くの本省人を逮捕連行。多くの公民が命を落とした政権による白色テロが横行した。
本省人であり乍(なが)ら国民党トップの座に就き民主化を推進した李登輝総統の後継には、当時、野党・民進党のトップにあった陳水扁氏が就任。蒋介石に対する評価も含め、国民党政権時代の「歴史」の見直しが為され、台北市内に鎮座する白亜の殿堂「中正紀念堂」も「台湾民主紀念館」へと改名されたが、国民党の馬英九氏が政権を奪還した事で、再び「中正紀念堂」へと名称を戻されてしまった。
扨(さて)、その様な中、迎えた事件発生後62年目の今年2月28日。台湾南部の主要都市・高雄で開催された野党系団体主催の追悼式典に、与党国民党の馬英九総統が出席。当時の政府の責任を認めた上で、「あの様な悲劇が二度と起こらないよう願う」と発言し、犠牲者=本省人との和解を演出して見せた。然(しか)し、その様な茶番で本省人が納得する訳が無い。国民党の政権復帰と共に、前述の通り、折角改名された「台湾民主紀念館」が元の木阿弥、「中正紀念堂」へと戻され、蒋介石に対する再々評価も為されている実情を鑑(かんが)みれば、いくら馬総統が耳に心地良い甘言を弄した所で、本省人の心に響く訳が無い。案の定、演壇に立つ馬総統を遮(さえぎ)る様に、独立派支持者が「台灣獨立・還我公義」と書かれたプラカードを掲げて、「馬英九やめろ」等とシュプレヒコールを挙げたそうだ。
元々、独立派が強い南部の高雄での開催だったとは言え、事件から62年を経て尚、これ程、2.28事件が本省人に残した傷は深いのである。馬総統が本気で「民族の和解」を考えているのであれば、本省人に対し胸襟を開いて本音でぶつかっていくしか無い。なまじ、中途半端に北京に尻尾を振り、「本省人を弾圧した独裁者」とされる蒋介石を評価している内は、どの様な甘言を口にした所で、本省人からは相手にはされない事だろう。
外省人出身・外来政権「中国国民党」の総統として、今の儘(まま)、任期を全うするのか? それ共、本気で民族の和解を為し、省籍に関係無い「台湾国の総統」として新たな歴史を切り開いていくのか? 誰が何と言おうと最終的には彼の覚悟次第なのである。
1947(昭和22)年2月28日、台北市内で闇煙草を販売していた本省人の女性に対し、外省人の役人が暴行を加えた事がきっかけとなり、台湾全土に波及した本省人による抗議行動であるが、蒋介石の国民党政権が外省人の憲兵・国民党軍兵士を動員して武力鎮圧。その後、戒厳令が布告される事となるが、何と布告が解除されたのは40年後の1987(昭和62)年。その間、権力を背景に国民党政権は多くの本省人を逮捕連行。多くの公民が命を落とした政権による白色テロが横行した。
本省人であり乍(なが)ら国民党トップの座に就き民主化を推進した李登輝総統の後継には、当時、野党・民進党のトップにあった陳水扁氏が就任。蒋介石に対する評価も含め、国民党政権時代の「歴史」の見直しが為され、台北市内に鎮座する白亜の殿堂「中正紀念堂」も「台湾民主紀念館」へと改名されたが、国民党の馬英九氏が政権を奪還した事で、再び「中正紀念堂」へと名称を戻されてしまった。
扨(さて)、その様な中、迎えた事件発生後62年目の今年2月28日。台湾南部の主要都市・高雄で開催された野党系団体主催の追悼式典に、与党国民党の馬英九総統が出席。当時の政府の責任を認めた上で、「あの様な悲劇が二度と起こらないよう願う」と発言し、犠牲者=本省人との和解を演出して見せた。然(しか)し、その様な茶番で本省人が納得する訳が無い。国民党の政権復帰と共に、前述の通り、折角改名された「台湾民主紀念館」が元の木阿弥、「中正紀念堂」へと戻され、蒋介石に対する再々評価も為されている実情を鑑(かんが)みれば、いくら馬総統が耳に心地良い甘言を弄した所で、本省人の心に響く訳が無い。案の定、演壇に立つ馬総統を遮(さえぎ)る様に、独立派支持者が「台灣獨立・還我公義」と書かれたプラカードを掲げて、「馬英九やめろ」等とシュプレヒコールを挙げたそうだ。
元々、独立派が強い南部の高雄での開催だったとは言え、事件から62年を経て尚、これ程、2.28事件が本省人に残した傷は深いのである。馬総統が本気で「民族の和解」を考えているのであれば、本省人に対し胸襟を開いて本音でぶつかっていくしか無い。なまじ、中途半端に北京に尻尾を振り、「本省人を弾圧した独裁者」とされる蒋介石を評価している内は、どの様な甘言を口にした所で、本省人からは相手にはされない事だろう。
外省人出身・外来政権「中国国民党」の総統として、今の儘(まま)、任期を全うするのか? それ共、本気で民族の和解を為し、省籍に関係無い「台湾国の総統」として新たな歴史を切り開いていくのか? 誰が何と言おうと最終的には彼の覚悟次第なのである。
by ayanokouji3 | 2009-03-03 17:33 | Comments(0)